北雄ラッキー経営戦略特集

小売 2021.05.29
北雄ラッキー経営戦略特集

 ●唯一無二の存在感 顧客ニーズに対応
 北雄ラッキーは、札幌を中心とした道央圏をはじめ、北網エリアでのドミナント展開を核にSSMの「ラッキー」「シティ」、小商圏型小型SM「マート」、衣料館などの店舗フォーマットで全道34店舗を構える。21年2月期決算の売上高は397億6200万円、営業利益4億6200万円、経常利益4億7700万円。北海道では流通3強を除く地場資本100%の中堅スーパーとしては、唯一無二の存在である。地場SMとして果たすべき機能・役割を追求し、地元の食や食文化、産業を守り継承していくことを旗印に「地域密着」路線を打ち出すラッキーカラーが一段と鮮明になってきた。
 創業は前身のオレンジチェーン設立の1971年にさかのぼるが、衣料品販売の「まるせん」との合併で現社名に商号変更し本格的なチェーン展開を開始した82年が、実質的な同社始動年との位置付けで来年には40周年を迎える。
 衣料品部門という競合にはない大きな武器を手に入れたことで、食品と衣料のコンビネーションタイプの店作りが可能となりSSM多店化戦略を後押し、食・衣両輪で事業基盤を固める大きな役割を果たしてきた。出店エリアも、93年にシティびほろ(美幌町)と合併し「シティ美幌店」として札幌圏外へ初出店。今日、ドミナントの中核になっている道央や北網地区での店舗ネット網を築く契機となった。その後、岩内店や倶知安店など空白町村への出店を果たし、徹底した地元密着対応により店の多くが地域一番店として高い支持につなげている。15年から取り組んできた小商圏型小型店「マート」業態も昨年度全5店舗黒字化を実現し、新たなフォーマットとして今後の店舗戦略の中心に据える。過疎化が進む全道各地の空白町村や人口回帰が進む札幌都心部への出店も視野に入ってきた。