メニュートレンド:石焼き皿で熱々グツグツ生パスタ 最後まで温かい満足感

石焼き生パスタ バジルトマト 1,638円(税込み) ※掲載価格は春日部店のもので、店舗によって価格が異なる サラダ、スープ、バゲット食べ放題、ドリンクバーが付いたパスタセットをプラス418円で用意。パスタメニューはトマト、ミート、クリーム、明太子、ペペロンチーノ、和風の6カテゴリー計33品とバラエティー豊か。麺製造者も驚くほどのモチモチ感に石焼き生パスタの実力が表れる

石鍋をコンロにかけて2分30秒間加熱するが、その間に調理が完了してしまうオペレーション精度の高さに感心。生パスタを2分間ゆで、ソースは材料を合わせたら温めて、ゆで上がった麺を軽く和える。熱々の石鍋に盛り付けたら素早くモッツァレラチーズをちりばめて完成

幹線道路至近の街道沿いに立地。スーパーやアミューズメント店などが集まり目を引きやすい。カフェ風のおしゃれな内装で、平日は主婦層や年輩客、週末は子連れの家族客などでにぎわい、平日50人、週末120人を集客する
ひと口目のみならず熱々が持続するのが石鍋料理のメリットだが、適用できる料理は限られる。麺がのびやすいパスタは“不適切”な料理だった。多くの難点を乗り越えて「石焼き生パスタ」を完成させたパスタ専門店「魔法のパスタ」は、熱々だけでなく提供の早さや味の変化を楽しめるなど、いくつもの付加価値を実現。パスタ料理のイノベーションを実現した。
●2分30秒のスピード調理を実現!
来店客が落ち着いた午後2時すぎ、一番人気の「バジルトマト」を注文すると、3分ほどの早さで真っ赤なソースがグツグツと沸き立ったパスタが到着。一口目は舌がヤケドしそうなほど熱々。驚くべきは15分ほどかけてゆっくり食事をしても最後の一口まで十分に温かく食べられたことだ。温かい状態で食べ終えることが満足度に大きく寄与することを改めて体感した。
開発のアイデアは意外なことがきっかけ。「学生時代にアルバイトしていた宅配ピザ店でのまかないパスタです。パスタをジェットオーブンで焼くとジューっと音を立てて熱々でおいしかったことを思い出し、これをヒントにしました」と、開発したMAHOPAの坂田信行社長は語る。
アイデアから商品化までは試行錯誤の連続。完成まで1年近くかかったという。盛り付ける器は、石鍋、土鍋、スキレットなど多数の市販品を試したがうまくいかず、1皿1万円のコストをかけて特注。高温の時間が続いてものびないパスタ麺は、淡路麺業の生パスタに出合うまで50種類以上のサンプルを検証した。最後の難関はソース。蒸発スピードが速いため、食事の後半には塩辛くなってしまうことに苦戦。ブイヨンで薄めるだけでは最初の一口目が物足りない。試作を繰り返す中で鰹節ベースの和風だしを合わせるなどの工夫で解決の糸口を見いだした。
「和の風味が加わると、日本人に好ましい味になることも発見。問題が解決した上、品質もアップした」と坂田社長は自信を見せる。
食べてみると麺はのびることなくモチモチ食感を維持。ソースは最後まで塩辛くならず、最初は酸味が爽やかで時間が経つほどにコク深くなる味の変化が楽しめる。
2022年からフランチャイズ展開を進め、取材店の春日部店で6店舗を数える。全国に石焼き生パスタ旋風を吹かす期待が高まる。
●店舗情報
「魔法のパスタ 春日部店」
FC本部=MAHOPA/店舗経営=ファイアサイングループ/店舗所在地=埼玉県春日部市8-974-1/開業=2024年7月16日/坪数・席数=25坪・38席/営業時間=11時~15時、17時30分~22時。不定休/平均客単価=昼1800円、夜2000円/1日平均集客数=平日50人、週末120人
●愛用食材・資材
「ノンオイルドレッシング梅づくし」 キユーピー(東京都渋谷区)
和の味がポイント、効率化にも貢献
パスタセットの1品となるサラダのドレッシング材料に同品を採用。「和の要素を加えて万人受けする味に仕上げました。さすが一流メーカーの完成度で、多店化に向けたオペレーションの効率化にもつながった」と坂田社長は太鼓判を押す。
規格=1L