デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(11)広島県「フレスタ」
◆専門店をベンチマーク、進化し続けるベーカリー 熱しやすく冷めやすい広島県民も納得
広島県を地盤に65店舗を展開する「フレスタ」は、健康志向の「ヘルシスト(※)」を推進する半面、ワクワクさせる嗜好的なデリカ商品も好評。俗に「熱しやすく、冷めやすい」といわれる県民気質に合わせ、目新しさと質実を両立させた商品開発に注力している。中でも人気なのが「専門店をベンチマーク」に「進化し続けるベーカリー売場」。お好み焼きが根付く粉もん王国だけに、調理パンにかける思い入れはひとしお。インストア調理を原則に毎月10~20品の新作を打ち出し、日替わり、季節ごとの販促イベントも充実。まさに来店動機を喚起する位置付けにある。そんなベーカリー売場の逸品を紹介する。
※「ココロとカラダにスマイル」を合言葉に「健康の選択肢が最も多い最上級の健康提案企業」を掲げ「フレスタのある街は皆が健康になる」を目指している。
●スーパーらしい開発ストーリーに感動
「至福のふわふわ生ドーナツ4種セット」 951円(税込み)/約400g
単品・プレーン 213円(同)、チョコ・イチゴ・ピスタチオ 各257円(同)
POINT:高級生食パンの業務用冷凍記事に着目
しっとりきめ細かな口当たりが大人気。東京で大繁盛している有名店の生ドーナツを手本に開発した。SNS告知など、万全を期して今年4月に発売。日曜限定で日販1万個を突破する大ヒットを記録した。「生」の定義は一般的に「生クリームやクリームチーズをドーナツ生地に練り込む」こと。しかし、多種類の商品を作るスーパーのベーカリー現場では難しい。そこで近年流行した「高級生食パン」の生地に着目。その業務用冷凍生地を活用し、商品開発に成功した。ありそうでなかったアイデアには業務用冷凍生地の製造業者もびっくり。カレーパンを揚げるフライヤーを共有できる効率的な調理オペレーションも秀逸。日常の質実を前提に創造された、まさにスーパーデリカらしい逸品だ。出せば売れるが、出し続けると飽きられるので、曜日と数量の限定販売を継続。そのハングリーな演出も広島県民の琴線に響いている。
●真理・進化・新作の「シン」を探究
「Bimiシン・カレーパン」 204円(税込み)/約110g
POINT:カレーパンの歌がフレスタソング
「日本のスーパーで一番おいしいカレーパン」を自称している逸品。2015年の独自開発以降、毎年1回ブラッシュアップを行い、カレーパンの「真理」を探究、「進化」を研さん、「新作」を開発。その3つの「真・進・新」が商品面の「シン」に込められている。味の自慢は、ジャガイモ・ニンジン・牛肉の素材感が生きたカレーフィリング。カレールウを練り込んだ黄色の生地も特徴的。10種類のスパイスを配合した刺激的な風味、粗目パン粉をまぶしたサクサク食感も秀逸。毎月第1土曜を「カレーパンの日」に制定し、社員が楽曲した「カレーパンの歌」を店内放送。フレスタソングとして県民の脳裏に焼き付けている。「一般的なスーパーに比べ2倍は売っている自信がある」と言い切る力作だ。
●健康パンの通説を覆したピザパン
「あま旨トマトの全粒粉バジルトマチー」 182円(税込み)/約100g
POINT:規格外でも糖度7%以上の素材力
瀬戸内海の離島「佐木島」の自社農園で高糖度にこだわったミニトマトを栽培。その規格外品を活用したピザパン。糖度7~8%を誇るミニトマトの甘味・うまみが抜群。トマト、トマトソース、バジル、チーズの具材にモチモチの全粒粉パンがマッチ。普通、健康志向を打ち出した調理パンは「あまり売れない」というが、本品だけは異例の売れ行き。それほど目立たないが、女性客を中心にリピート必至だ。
●おやつ感覚のスイーツトースト
「砂谷牛乳のフレンチトースト(ホイップ)」 289円(税込み)/約214g
POINT:地元の牛乳メーカーとコラボ
地元の砂谷牛乳を使ったフレンチトーストを開発。一般的にフレンチトーストは「卵の黄色と焦げ目が付いたパン」というモーニングのイメージが強いが、本品は大量の粉糖をまぶしホイップクリームが付いた白装束で、どちらかといえば3時のおやつのイメージ。砂谷牛乳をたっぷり使った調味液に、ソフトで歯触りのよい食パンを一晩漬けこんでしっかりと味を染み込ませ、ベーカリーの専門オーブンでじっくりしっとりと焼き上げている。調味液にバニラビーンズを加え、仕上げに粉糖をまぶし、甘いホイップクリームを付けた、スイーツとして食べるように設計されたフレンチトースト。地元民から長年愛され続けているメーカーと小売店の心温まるコラボ企画。2025年「惣菜・べんとうグランプリ」金賞受賞。
●鮮度感と口当たりのバランスが格別
「自社製とろ旨杏仁豆腐」 204円(税込み)/約170g
「コク旨なめらか寄せプリン」 322円(税込み)/約270g
POINT:果物トッピングで付加価値アップ
ベーカリー売場の冷蔵ケースで販売しているオリジナルスイーツ。デリカセンターで調理され、各店に当日日配される。いずれも滑らか食感と、ほどよく濃厚な風味が自慢。市販チルド製品に比べて高額だが、外食レベルの鮮度感、作りたてのおいしさは格別。これをベースにフルーツやホイップをトッピングしたアレンジ商品も人気。
●店舗情報
「フレスタ」(65店舗/広島県) 惣菜売上比率約12.2%(ベーカリー含む)
社名=(株)フレスタ/所在地=本部・広島市安佐南区緑井5-18-12/創業=1887年(菓子・煙草小売販売店)、設立=1960年(スーパー創業)/従業員数=約530人(正社員)/店舗数=65店舗(広島県、岡山県、山口県・うちベーカリー併設48店舗)