新店ウォッチング:「まんまる・はなまるうどん」東京渋谷公園通り店

2002.10.07 261号 21面

讃岐うどんの本場、四国・高松でも人気の一〇〇円うどん「はなまるうどん」が、東京・渋谷の公園通りに出店し、話題を呼んでいる。

はなまるうどんは、四国・高松市に本拠地を置く(株)はなまるが展開する讃岐うどんのチェーンである。二〇〇〇年の5月に、医薬品メーカーの飲食部門として高松市内にプロトタイプの店舗がスタートし、昨年の暮れに現在の法人が設立されたばかりという、まったく新しい、いわば飲食ベンチャー企業であるが、すでに高松市をはじめ、岡山、倉敷、金沢、札幌など全国に一〇店舗以上を展開し、満を持しての東京進出となった。

今回、渋谷公園通りに出店した店舗は、通りに面した古くからある高級マンションの半地下部分、いくつかの飲食店が入居するテナントスペースの一角にあり、建物の構造上、店頭のファサード部分の一部が敷地内の階段下に位置しているため、混雑時でも道路通行者の邪魔にならず並ぶことができ、また雨天時でも濡れずに待てるという有利な店舗となっている。

店舗のデザインは、和風のファストフードといった雰囲気で、ロゴマークなどのグラフィックはオレンジ色をベースに展開され、店内壁面や家具などはナチュラルな木製の材質を使用、床面やいすのレザーはピンク系のカラーリングで統一されている。天井は、スケルトン状態のまま白色に塗装したカフェ風の明るい店内である。

店内のレイアウトは、販売カウンターと客席に分かれたセルフサービス方式。入り口の脇にあるトレーを取って、卵焼きやビールなどの酒類、讃岐式おでんといった商品を自分で選び取り、その後、うどんを注文する。

うどんには、通常のうどんと冷やしうどん、そして、ゆで置きしないためにタイミングによっては一〇分程度もかかる本格的な釜揚げうどんなどがあり、ここでサイズ(大・中・小)と、かけ、ざる、ぶっかけ、湯だめ、といったうどんのスタイルを選んで、揚げ玉やショウガなどの薬味、天ぷらやコロッケなどのトッピングを自分で載せてから、会計するというシステムだ。

「かけうどん」の小は何と一〇〇円という驚異的な価格であり、薬味の揚げ玉などは無料でかけ放題なので、たぬきうどんが一〇〇円で食べられるということになるが、実際には、そうした注文のお客は非常に少ない。

「ゆずねぎ」や「かま玉」といった、関東にはない独特のうどん商品のほかにも、カレーや牛丼などの丼物、サイドオーダーの「おにぎり」や「いなりずし」などの商品があり、一〇〇円うどんにおにぎりを併せて注文する女性なども数多く見られる。

うどんの麺自体は、シコシコした歯ざわりとツルツルとしたのどごしが感じられ、関東の立ち食いうどんによく見られる、モチモチと粘りのある食感とは違い、讃岐うどんの特徴がしっかりと出た本格派だ。

渋谷店では、こうした本物のおいしさが評判を呼び、すでに平日から行列のできる繁盛ぶりである。

同社では、現在、年内四〇店舗という目標を掲げて、FC加盟店を大々的に募集しており、店舗展開の行方によっては、今後のファストフード業界をにぎわす新しい大手チェーンとなる可能性も秘めており、各方面から、その動向に注目が集まっている。

◆店舗データ

「まんまる・はなまるうどん」東京渋谷公園通り店((株)はなまる、東京都渋谷区宇田川町九五‐一‐三二二、渋谷ホームズB1、電話03・5428・0870)開業=二〇〇二年9月6日、客席数=六〇席、営業時間=午前10時~午後10時30分

◆筆者紹介

商業環境研究所・入江直之=店舗プロデューサーとして数多くの企画・運営を手がけ、SCの企画業務などを経て商業環境研究所を設立し独立。「情報化ではなく、情報活用を」をテーマに、飲食店のみならず流通サービス業全般の活性化・情報化支援などを幅広く手がける。

◆取材者の視点

筆者は、昨年から二〇〇二年は「うどん」と「おにぎり」がブレークする年になるだろうと予測していたが、この予測はどちらも実現しそうだ。この「はなまるうどん」だけでなく、去る8月にはJR恵比寿駅構内にJRグループの日本レストランエンタプライズが経営する「さぬきうどん」がオープン。やはりセルフ方式で、四国から直送した「讃岐うどん」を提供し人気を集め、駅構内にもかかわらず、同様に週末などには行列ができている。

どちらも、讃岐うどんの地元四国で評価を得ている本格派という点が、ポイントであろう。関東のうどんは、どちらかと言えば軟らかめの麺を比較的濃い味のだしで食べさせるものが主流だったはずだが、近年の繁盛店は、コシのある麺を、あっさりした関西系のつゆで味わうものが中心となってきている。

店に行ったのは平日午後3時、雨模様である。にもかかわらず、行列は店外まであふれていた。しかし、よく見ると店内の客席は空いている。席数のキャパシティーではなく、商品提供のスピードが追い付いていないための行列なのだ。

また、カウンター前動線の通路幅が狭いために、行列ができてしまうと、退店客の動線とぶつかってしまう。このために、従業員のサービス動線が確保できず、客席のクレンリネスなどの作業が滞ってしまうといった問題も発生しているようだ。

近年進出した某外資系チェーンのように、あまりに短期間にブレークしてしまったばかりに、その後のチェーン展開スケジュールが混乱したという例もある。

せっかく、これだけの商品をこの価格で提供できる実力を持った企業なのだから、性急に店舗数の拡大を求めず、ジックリと計画を立て、慎重な店舗展開を行って、大きく育てて欲しい。

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