衛生特集:作業者自身の非常識とモラル向上

2000.07.17 208号 2面

最近各種業界で「国際標準化」が盛んに言われている。その大きな要因は世界情勢の急激な変革があり、その対応を今求められているのではないだろうか。旧ソビエト連邦の崩壊、ベルリンの壁の崩壊、EUの誕生などわずか一〇年ほどの出来事である。

一方、食品衛生の世界でも先進国をはじめとしてHACCPの導入が進んでいる。わが国でも一九九六年の「O157」の事故以来、厚生省ではHACCP概念を導入した衛生管理手法を指導している。が、現場の対応はとてもHACCPの導入とは程遠い。

わが国の場合、HACCPを語る前に厨房内の衛生管理に必要な社会基盤が遅れていることを真剣に受け止める必要がある。その例として、日本ではかつて弁当惣菜衛生規範(一九七九年B規範)で、厨房内の衛生環境は湿度八〇%以下、室温二五度C以下、天井高二・四m以上が望ましいと推奨していた。

二〇年も前から厨房内の環境改善が必要であると認識しながら、抜本的な改善がされていないばかりでなく、奇異な作業方法の放任など改善すべき課題は山積している。このような情勢下での衛生レベルの向上は遠い道程と言わざるを得ない。そこで本稿では、改善すべき問題点を明確にし、とるべき対応策を提案する。

先日、ある新設レストランで開業準備のため、作業員に対し衛生管理の重要性について実施訓練教育を実施した。その際、一般常識として、厨房内での禁煙、手洗いの重要性など責任者を交えて指導し、一通りの教育終了後、最初にその「約束」を破ったのはなんと指導する立場の調理長であった。

調理場内での喫煙、作業場内の物資の散乱(故意的)、冷蔵庫や冷凍庫の庫内温度不徹底など。パートいわく、「先ほど厨房内の喫煙は厳禁と教わりましたが…」。実にレベルの低い話である。

この現場は当然一ヵ月もしないうちに汚い厨房へと変身するであろう。厨房の衛生管理は、従業員教育と意識改革が大切という御仁もいるが、従業員自身の職業上のモラル欠如と非常識こそが問題である。

つまり飲食店での衛生管理の基本は5S(しつけ、整理、整頓、清掃、清潔)を徹底して人材の質を向上させ、衛生に対する常識をしつけることが基本と考えられる。

一方、清潔な職場はおいしさの提供という点から極めて重要である。つまり、おいしさは味のみでなく、食事環境、雰囲気、従業員のもてなし、素材の鮮度そして衛生環境などの相互バランスがとれてこそ可能となる。不潔な店、汚い厨房、不衛生な従業員、どれをとっても客の増大につながらない。

従って、前記のように「衛生」を軽視する店舗は企業にとって不利益となるばかりでなく、フードサービスのプロとしての資格はない。

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