御意見番・食品リサイクル:榊芳生・OGMコンサルティング代表取締役

2001.05.21 228号 15面

OGMの政策研究会でも、いま労働と債務の次にゴミの問題が取り上げられている。リサイクル法が今後、店の経営を圧迫するのではないかと懸念している。

飽食の時代になって、リサイクルが取り上げられるようになった。物がいまほど豊かではない時代には、食事を食べ残すことはなく、余ったゴミは家畜の餌になっていた。外食はお腹をいっぱいにすること、必要以上にボリュームを売ることで差別化を図ってきた経緯がある。だからゴミが出ることを罪悪と思っていない。まずその経営者の発想を変えないといけないだろう。

一方お客さん側にも、食べ残すことに対する罪悪感がない。グルメが蔓延し、自分の健康のことしか考えていない。ドギーバックを用意し、食べ残しを持ち帰ってもらうようアプローチするなど、お客さんの意識も変える努力をして、残飯を出さないことが重要だ。

また政府は法律を作るだけではなく、具体的な後押しがなくては、経営者に負担を強いるだけで本質の解決にはならない。海外を見ると、米国では下水が発達しているのでディスポーザーで生ゴミを処理できる。日本はまだ下水施設も十分に整備されていない。

韓国では、日本より環境対策が進んでいる。以前は山盛りの食事がないと満足できないという風潮があったが、いま外食で食べ残したらテークアウトするように奨励するなど、政府が四年ぐらい前からゴミ問題に力を入れてきている。残飯は家畜の飼料にできるよう、爪楊枝もデンプンから作られている。給食センターには生ゴミを分解して肥料にする施設が整っている。

日本も生ゴミの処理施設を公的に造るのか、助成するのかといった具体的な体制を整備し経営者にアプローチすると同時に、消費者に対する啓蒙活動もしっかりやっていただきたい。

またゴミの内容が今後は変化していくだろう。たとえば生ゴミを出さないために、セントラルキッチンや加工場で一括処理すれば、今度は各店に配送するためのラップなどの包材が大量に出るようになる。生ゴミがなくなれば不燃ゴミが増える。廃プラスチックの方が環境汚染は深刻だ。

リサイクル法が定着すれば必ず、次は廃棄物全体の問題が待っている。不用意にシステムや化学の力に頼るだけでは対応できなくなるだろう。

廃棄物を出さないためにはどんな料理を出したらいいのか。地場の旬の取れたてのものを提供することが一番環境に負荷をかけない方法だろう。また居酒屋なら、複数のメニューの中で食材を丸ごと使い切ることもできる。昔はタイ一匹を店でさばいてすべての部位を料理に使ったが、いまはアラはみな廃棄処分にしてしまう。

システム化すれば食材の一部分しか使われない。合理化はやればやるほど、逆に流通の中でゴミや無駄を出すことを忘れてはいけないだろう。

◆榊芳生(さかき・よしお)昭和12年香川県生まれ。中央大学法学部在学中、愛媛県松山市に和食処「へんこつ庵」を開業。以後一九店舗展開するも倒産。コンサルタントとして復活し過去の経験をもとに、地域・生業店志向の飲食店経営を説く。現在、わが国最大の外食コンサルタント企業OGMのトップとして活躍。OGMのホームページ=http://www.ogm.co.jp/

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