野菜類の機能性研究最前線 きのこ、ウコン、わさび

2011.02.10 187号 07面

 ◆きのこ

 インフルエンザのウィルス感染を予防 ホクト・富山大学大学院(「日本機能性食品医用学会」より)

 きのこを食べるとインフルエンザ感染の予防に役立つことが、きのこメーカー・ホクトと富山大学大学院医学薬学研究部との共同研究で明らかになった。一昨年、世界各地で大流行し犠牲者が多数出た新型インフルエンザと同じA型H1N1ウィルスをマウスに感染させ、きのこ摂取の影響を検証したもので、結果は昨年12月に滋賀県で開かれた日本機能性食品医用学会で発表された。

 実験で使ったきのこは、ぶなしめじ、ブナピー、ほんしめじ。特にぶなしめじとブナピーは入手しやすく、手軽においしく食べられる食品で副作用の心配もない。きのこを日常的に食べていると、副作用のある治療薬の使用量を減らせる可能性もあるという。

 インフルエンザ予防のワクチンには卵を使うものもあり、卵アレルギーの問題がある。研究チームでは、きのこ中の有用成分を解明するなど、インフルエンザ対策にきのこの力を役立てる研究を続けている。

 ◆ウコン

 「クルクミン」が運動後の筋疲労を抑制(セラバリューズ社「クルクミンセミナー」より)

 カレーの黄色い色素である、ウコン。このウコンに含まれるポリフェノールの一種、クルクミンは、悪酔い防止に効くだけでなく炎症予防にも有効なことから、ばんそうこうにも使われている。他にも生活習慣病やがん、精神疾患などに対するさまざまな効果が確認されており、昨秋には国内外の研究者が最新成果を発表する「クルクミンセミナー」(※)が東京で開催された。

 セミナーで前田清司・筑波大学人間総合科学研究科スポーツ医学専攻講師は「動物実験の段階だが、クルクミンを摂取すると運動後の筋疲労を抑制することがわかり、ヒト試験も開始した。運動は生活習慣病やメタボ予防に必須なので、クルクミンの機能性を、運動継続が難しい人の後押しにつなげていきたいと考えている」と語った。

 ※同セミナーは、クルクミンの欠点である生体吸収性を大幅に改善した製剤「セラクルミン」を開発したセラバリューズ社が主催した。

 ◆わさび

 わさび成分に疲労・ストレス軽減効果(金印「ワサビアカデミー2010」より)

 ツーンとした独特の刺激で、すしやそばなど料理のおいしさを豊かに膨らませる、わさび。本わさびの成分「ワサビスルフィニル」には食欲増進や発汗作用など多くの生理機能性が認められているが、さらにストレスや疲労にも有用に働く可能性の高いことが医療法人松柏会・榎坂病院の関山敦生氏の研究で分かり、加工わさびメーカーの金印が昨年12月に主催した「ワサビアカデミー2010」で発表された。

 実験では20代~60代の健康な約40人に「ワサビスルフィニル」を飲んでもらい、ストレス感や疲労の自覚、血液検査によるストレス・疲労の判定評価が行われた。

 その結果、「ワサビスルフィニル」飲用群は、プラシーボ(偽薬)群に比べて、夜勤による疲労感が減少し、不安やイライラ感についても改善がみられたという。「天然素材から抽出した『ワサビスルフィニル』には、抗不安薬や精神安定剤など医薬品に匹敵する効果があり、その一方で医薬品投与時に見られる、眠気・だるさ・ふらつき・精神依存性などの副作用がまったく見られなかった」と発表された。

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