果物の機能性研究最前線 りんご、みかん、バナナ
◆りんご…リンゴポリフェノールに皮膚老化抑制効果(ファンケル)
「1日1個のりんごで医者いらず」と言われるように、りんごが健康にいいことは世界的に有名。ファンケルは、りんごに秘められた新たな機能として「リンゴポリフェノールの光老化抑制効果」を確認した。
光老化とは、紫外線が引き起こす皮膚のしわ、たるみ、乾燥などの現象で、同社はアンチエイジング研究の一環として、これらの抑制に効果的な食品素材を探求、リンゴポリフェノールの優位性を見出した。
研究成果は第10回日本抗加齢医学会総会で発表され、優秀演題賞を受賞。今秋からエイジングケアの飲料やサプリメントとして実用化も始まっている。
◆みかん…血管力UPの効果あり(糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会)
「こたつでみかん」という冬の情景も少なくなっている昨今。みかんを食べる量に関する調査では、3人に1人が「10年前より減った」と答えている。
昨年10月にこの調査を行った糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会は「みかんなど柑橘類の果皮や薄皮は、ヘスペリジンという成分を多く含む。ヘスペリジンは毛細血管の強化、血流改善効果や血圧上昇の抑制など、血管力を高めるさまざまな機能を有し、食品や化粧品への活用も期待されている」とし、みかんに含まれているヘスペリジンの機能や有用性への理解を広める活動を行っている。
◆バナナ…スギ花粉症軽減の効果を確認(東京理科大学)
バナナを食べるとスギ花粉症が軽快する。こんな可能性を示唆する研究結果が、昨年12月11、12日開催の「日本機能性食品医用学会総会」で発表された。
研究を行った東京理科大学薬学部・谷中昭典教授は「実験用マウスにバナナを与えると、アレルギー反応に関わる好酸球数やIgE抗体量の増加が抑制され、アレルギー反応抑制効果が確認できた。また、花粉症やアレルギー疾患が起こるメカニズムとして、Th1とTh2という物質のバランスが崩れることも指摘されているが、私たちの実験では、バナナ摂取がこれらのバランス調整にも役立つ可能性が想定できた」と語る。
今後は、バナナの抗アレルギー効果をヒトで検証する試験や、バナナのどの成分が働くのかを特定する研究が続けられる。