Dr.寺田の大腸・肛門診察室:痔の最新治療「PPH法」について教えて
食の欧米化により大腸がんの増加が叫ばれている現代、自分の大腸や肛門に不安を抱えている人は少なくない。患部の場所柄、人に相談できず、症状をこじらせ大腸がんなど大病に至るケースも多い。そんな悩める現代人の寺子屋的存在である、インターネットサイト『大腸・肛門どっとコム』の「メール診察室」には今日もたくさんの悩みが寄せられている。当コーナーでは「メール診察室」に実際寄せられた質問と答えの一部を紹介する。
◆Q.痔の最新治療「PPH法」について教えてください。
◆A.痛みは少なく、社会復帰が早い
いままで、痔を患っていても手術が大変、痛そう、完治まで時間がかかりそう、とお考えになっていた人が多いと思われます。
従来の痔の手術(もっともいまでも主流の手術ですが)は、肛門皮膚より肛門粘膜内に切り込みを入れ、発達した静脈瘤を削ぎ落とすものでした。ですから術後に切れ痔の痛みで悩まされることが多く治るまで時間もかかりました。
しかし痔の最新治療「PPH法」は、いわば発想の転換で生まれた「脱肛」の手術です。痔の脱肛は直腸の粘膜のたるみが原因です。そこで、たるんだ粘膜部を環状に切除し、飛び出していた痔の部分を肛門内に吊り上げてしまえば、痔は肛門外に脱出しないというものです。
直腸粘膜部には痛みの神経はありませんので切除しても痛みは感じませんし、また痔を養っていた血管も遮断され、徐々に消退していくと推測されるのです。痛みは少なく、入院日数も短期ですみ、社会復帰が早いことが最大の利点ですが、適応は内痔核、直腸粘膜脱に限られ、外痔核のある方や肛門狭窄のある人は適応外です。
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▽寺田病院 胃・大腸・肛門病センター=東京都足立区本木西町18‐16、フリーダイヤル0120・77・0874、ホームページhttp://www.daichou‐koumon.com
「PPH法は、直腸粘膜のたるみを切除し、飛び出していた痔の部分を肛門内に吊り上げるという脱肛の最新手術。痛みは少なく、入院日数も短期ですみ、社会復帰が早いことが最大の利点ですが、適応は内痔核・直腸粘膜脱の人に限られます」と語る、寺田病院胃・大腸・肛門病センターの寺田俊明センター長。