気になる薬草:「明日葉」 肺ガン、皮膚ガンに効果・・・マウス実験で証明
伊豆諸島では江戸時代から食用として、また民間薬として親しまれてきた明日葉。原産地は八丈島で島のいたるところで自生しているセリ科の植物である。江戸時代、島の食生活は島内で穫れる産物に限られ粗食だったというが、江戸に住む人々に比べ健康で長寿だったのは明日葉を常食していたからだともいわれている。
明日葉の根や茎を切ると黄色のネバネバした汁が吹き出す。この黄汁に制がん作用、抗潰瘍作用、抗血栓作用など‐‐の効果があることがわかってきた。マウスを使った実験からも具体的に肺がん・皮膚がんについて発病・促進を抑える結果が得られている。その他胃腸の調子を良くし、便通を整え利尿効果の作用もあるという。(指導=大阪薬科大学助教授・馬場きみ江氏)。
明日葉の葉をかじると独特の苦みとともに少し油っぽい匂いがする。これが好き嫌いが生じる独特の風味。最近では多くの人がその名を知るようになり、明日葉成分を含む製品が多品目にわたり開発、発売されている。
その一部を紹介すると、原産地の八丈島に明日葉加工工場を持つ(株)ダイケン(04996・2・3181)では、明日葉純度一〇〇%の粒と粉末を「明日葉パーセント」という商品名で販売している。粉末は水または牛乳やヨーグルトに混ぜても良し、料理に使用すればアクセントにと利用の幅は広い。JA八丈島(八丈島農業協同組合)からは手軽に飲める「明日葉茶缶(二四五g)をはじめ「明日葉そば」「明日葉麺」など。そのほかニベア花王(株)からは「アトリックスメディケイティッド」の薬用ハンドクリーム、(財)東京都島しょ振興公社から「東京愛らんどの湯」明日葉の薬用入浴剤等々。
「今日、葉を摘んでも明日には新しい芽を出す」という明日葉。実際に新芽が出るには四~五日かかるらしいが、それでもすごい。その生命力の強さにぜひあやかろうではないか。