5月6日。今日はコロッケの日
5月6日は味のちぬやが制定したコロッケの日。日付は語呂合わせに由来する。
コロッケを含む「惣菜」とは
「惣菜」は昔からの「庶民の食 べもの」で、「おかず」としての役目をはたしてきた。「料理」という言葉がなぜか外食イメージを感じさせるのに対し、「惣菜」 は素朴。家庭内で家族のために三度の食事用に手作られた「おかず」程度に考えるのがよい。 事実、大辞典(1936年)の複刻版(82年・平凡社)によると「家庭の人々に供するための平日の副食物。平日の菜を京都では (番さい)といい、江戸にては惣菜」のような意味であり、また、近年の広辞苑(08年・岩波書店)には「日々の食事の副食物、飯のおかず、菜の物」とあり、その概念をほぼつかめるであろう。つまり狭義の惣菜の定義は「ハレ(祝い)の日ではない日々の庶民的な食事のおかず。そして日持ちがあまりよくない調理済み食品」といった日常のおかずなのである。
したがって「惣菜」は、その土地で生産した、または入手できる食材を使った調理食品であり、今の言葉でいえば、「地産地消食品」 でもあったといいたい。
ところで、太平洋戦争に敗れた後、しばらくは戦後の混乱により食糧不足の時代が続いたが、経済が安定化するにともなう社会情勢の変化、それに関連した食生活の変移により、家庭内では、
- 共働き化が進み、食事は外食または中食(惣菜、弁当など)の利用が増えたこと
- 核家族化し、個食化して家族がそれぞれが自分の好む食べものを選ぶようになったこと。
- 市販の惣菜や弁当商品が市場に出回り、それを購入した方が家庭内調理の手間が省ける。また、商品の品質が向上し、品揃え面からもリーズナブル になってきたこと。
など、惣菜商品における庶民の生活への密着度が高まってきた。
一方、つくるサイドからみると、かつては惣菜屋さんと称した、夫婦で製造するようなきわめて小規模なメーカーがほとんどであった。手作り惣菜商品を毎日つくって近所の人々に売っていたのが普通であった。それが時を経るにしたがい、「主婦の食事づくり代行業」の惣菜メーカーに発展し、広いエリアの惣菜店舗に商品を供給するようになってきた。まさに「惣菜は各家庭でつくるもの」から店で購入する商品」に変移したのである。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:一般社団法人 日本惣菜協会(技術顧問)中山正夫))