長野・山梨地区夏季特集
長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続いている甲信エリア。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大と直面する異例の夏。富士山、軽井沢など国内有数のリゾート地を持つ長野、山梨両県にとって、観光需要を中心とした経済的なダメージは甚大だ。自助努力だけではどうにもならない難局に、域内食品業界は不安と焦燥感を募らせている。
本紙が両県の食品メーカー、食品卸、食品小売業、外食業などを対象に行った調査では、約7割の企業がコロナ禍で売上げが減少していると回答。ウイルスの猛威が業績にも及んでいる状況が浮き彫りとなった。
出口が見えない「アフターコロナ」。これから迎える変化について域内業界からは内食化や通販・宅配系チャネルのさらなる拡大予想に加え、デフレ傾向の強まりを懸念する声も強まっている。人口減少、少子高齢化が加速する地域市場は年々、地盤沈下が進んでおり、「価格競争に息の根を止められそう」(メーカー)、「体力のある大手しか生き残れない」(卸)未来への暗雲が垂れ込み始めている。
東京・品川駅と甲府市を約25分、飯田市を約40分で結ぶリニア中央新幹線や、静岡県と山梨県、長野県をつなぐ中部横断自動車道など高速交通網の整備で、さらなるオープンマーケットへの変容が想定される近い未来の地域市場。「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」の「新しい生活様式」「ニューノーマル」にどう向き合っていくのか。各社に今年前半戦の業況を振り返ってもらいつつ、変化を生き抜く一手を探った。(長野支局長=西澤貴寛)
-
◆長野・山梨地区夏季特集:コロナ猛威、業績を圧迫 生き抜く一手探る
特集 総合 2020.08.21長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続いている甲信エリア。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大と直面する異例の夏。富士山、軽井沢など国内有数のリゾート地を持つ長野、山梨両県にとって、観光需要を中心とした経済的なダメージは甚大だ。自助努力だけではどうにも…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:小売流通=競合は業態超えて激化
特集 小売 2020.08.21オーバーストアが叫ばれて久しい甲信エリアの食品マーケット。人口減少や少子高齢化で消費基盤が弱体化する中で、業態を超えた競合が進む。食品スーパー(SM)はツルヤ(長野県)、オギノ(山梨県)の両県トップが盤石の強さで他チェーンを引き離しているが、市場全体…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:卸流通=観光などダメージ甚大
特集 卸・商社 2020.08.21コロナ禍に見舞われた異例の上期。卸流通の業績は、市販用と業務用で明暗が分かれた格好だ。ローカルSMチェーンが強さを保っている甲信エリアでは、ナショナル卸が攻勢を強める中でも地元卸が一定の基盤を維持している。ただ、川下の流れは激しく、いつ水底に引き込ま…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:食品関連企業動向=外出自粛などで売上げ減7割
特集 総合 2020.08.21本紙は、長野・山梨両県に本社や拠点を置く食品関連のメーカー、卸、小売業、外食業など約120社を対象に、上半期の業況やコロナ禍の影響、「アフターコロナ」への対策などを聞くアンケート調査を行った。調査期間は7月1~31日、延べ44(メーカー29、卸8、小…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:農産加工=観光・土産ニーズ激減 内食化など追い風も
漬物・佃煮 特集 2020.08.21豊かな自然に囲まれた甲信エリアは、野菜・果実原料の宝庫。長野県は加工用トマトやエノキ茸、本わさび、山梨県はブドウ、桃などの生産量日本一を誇る。こうした農産物を原料に、地域の農産加工業は食品製造業を黎明期からリード、日本ワインやなめ茸、こうや豆腐など、…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:信州味噌・醤油=独自性打ち出す熱意
調味料 特集 2020.08.21◇市場変化に対応急ぐ 「信州味噌」の地元、長野県は、大手メーカーから中小の製造業、「蔵」規模の醸造場まで約120社がひしめく味噌大国。県の味噌出荷量は全国の約50%を誇るが、一部大手への偏重が年々進み、中小・小規模メーカーは苦戦が続いている。緊急事…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:信州そば・乾麺=見直される乾麺
麺類 特集 2020.08.21◇「そば粉高配合系」が脚光 長野県の食を代表する「信州そば」。明治時代に長野市で誕生した乾麺、乾そばの製造量も県のシェアは全国の約40%を占めてトップに立ち、製品分野でも地域の食品産業をけん引している。コロナ禍が直撃する今期。外出自粛が拡大した4~…続きを読む