ワインテイスティングのライブレッスンがコロナ禍の英国でブームに

コロナ禍の英国で急激なブームとなっているのが、オンラインでレッスンを行うワインのテイスティングコースである。英国ではワインの生産が活発化しており、今ではフランス産にも勝るワインを産み出すことで有名になりつつある。今回は、英国でワインのテイスティングコースがはやる理由と、コースの内容を紹介する。

英国でブドウとワイン生産が年々増加

英国では、ワインの売上げが急上昇している。これは、コロナ禍による自宅滞在時間の増加ばかりが原因ではないようだ。

地球温暖化による気候の変化が影響し、ヴィンヤード(ブドウ園、ブドウを生産する農場)が年々増える英国。その数は20年前の約4倍ともなっている。10年前には無名だった「Chapel Down (チャペル・ダウン)」 や「Nyetimeber(ナイティンバー)」は、英国が誇るブランドになるまで成長し、ワインの生産量も増えている。その質も世界的に認められるほど向上した。こうした事情が刺激となり、最近では、ヴィンヤードの購入を本気で考える英国人も多いのだ。

英国「Chapel Down」のスパークリングワイン(筆者撮影)

ワインが身近になった英国で、ワインをもっと学びたいという人々が増えても当然であろう。またロックダウン中には、「飲み会がしたい」「人との交流が恋しい」「何か知識を獲得したい」という声も多く、世界中の人々と交流しながら学習できるワインのテイスティングのライブレッスンは、彼らの願いを一気にかなえてしまった。

参照サイト:
Where to buy a vineyard in the UK The Sunday Times

赤字回復の絶好の機会に

テイスティングコースの多くは、ズームやインスタグラム、フェイスブックといったインターネットツールを通してオンラインで行われている。営業に苦しむ業者にとっては、店の規模を問わずに運営できることから、赤字回復の絶好の機会となっている。

ワインの数々(筆者撮影)

コースの内容はさまざまであり、年間行事に沿ったコースもある。

例えば、2月14日のバレンタインデーには「Valentine Day Virtual Wine Tasting Experience/ Good Wine and Good Vive」が開催された。有資格者のエキスパートが質疑応答を通して5種類のワインを紹介するというものだ。開講前には100mlボトル入りワイン(2人用)と、テイスティングに必要なカードが参加者自宅に送付される。レッスンでは、さまざまなジャンルの音楽がBGMに流れ、ロマンチックな雰囲気を同時に楽しむことができる。この時の受講料は約1485円(教材込み)。

参照サイト:
How to become a wine connoisseur on Zoom The Guardian

ペアリングを学べるコースも

「Chocolate, Wine and Cheese」というユニークなコースもある。ここでは、チョコレート、チーズとワインのペアリングを学ぶ。初めにチョコレートについて学び、次にチーズとチョコレートのぺアリングを学習する。

最後に、チーズとチョコレートのペアリングに最も合うワインについて学ぶというものだ。教材は(1)4種類のチーズ、2種類のチョコレート、チーズ用クラッカー、(2)2種類のワイン。参加者はどちらか選ぶことができる。受講料は約1580円(教材込み)である。

チーズとチョコレート(筆者撮影)

他にも、「PinoGris とPinot Grigioの違いを学ぶコース」や「オーストラリアのワインを学ぶコース」などが用意されており、どのコースも個人の予算やレベル、興味に応じて選べる。英国でのワイン人気上昇とコロナ禍が、タイミングとして一致した形で盛り上がっているといえよう。(フードライター ラッド順子)