東北つゆ特集

調味 2021.06.14

 ◆メニュー提案で裾野拡大
 昨年度のつゆ業界は特売、販促企画なしで前年比2桁増をみたが、その反動で今期は厳しい商戦を強いられている。みやぎ生協は昨年4、5月のつゆ・乾麺で異常値を記録したが、今年はともに前年比10%減に落ち込んだ。つゆ需要期を迎え、上期は稼ぎ時になる。3月にスタートし5月まででどれだけ貯金を残せるかだったが、裏年はやはり難しい。特売、企画は外せない。「昨年の高い山にいかに近づけるか、平台に乾麺、つゆ、薬味などを積んだ涼味企画、エンドでの展開」(コープ東北店舗商品本部・菅原隆行商務)といった取組みで少しでも売上げを伸ばしたいところだ。
 19年度から1.8Lの終売に踏み切り、業界に一石を投じたヤマキ。かつての特売価格398円から、現在は298円、278円まで下がり、流通ともども利益が出ない商品となっている。“ポスト1.8L”へは、まず中容量へのシフトであり、白だし、アゴだしなどで少し上をいく味の食べ方提案。そして個食つゆ、具材入りつゆなどバラエティー化で、裾野を広げていくかになろう。1.8L特売メーカーは絞られ、後はヤマキのような決断をするのか否かだ。「仙台市と周辺は1.8Lの日替わりを打っても点数は伸びない」(同)という現実を踏まえ、労多くして功少なしの状況改善が求められる。
 四季を問わずに煮物、鍋物、初夏の今ならみずみずしい山菜のおひたし、そして麺にとつゆの出番が多くなる。郷土料理が息づく東北では特に重宝がられ、地元メーカーのつゆは醤油のように使われてきた。コロナ禍で家庭内食が多くなり、出番が多いつゆは価値ある商品だ。簡単なメニュー提案でまだまだ裾野は広がっていく。(東北支局長=三沢篤)