業界TOPICS:上場外食企業100社の6割が値上げ

2022.11.07 525号 09面

 ●中小飲食は顧客離れを危惧する声も

 帝国データバンクの調査によると、上場する外食企業100社で10月18日までに半数超の56社が値上げを実施した。値上げを行った企業のうち、価格が判明している企業41社の値上げ金額は左グラフの通りで、最も多いのは「30円以下」で15社。1メニュー当たりの値上げ金額は「平均50円」となった。

 業態別に見ると、値上げした企業の割合が最も多いのは中華料理やラーメンチェーンなど「中華麺」業態で、9割が値上げを実施。また、「居酒屋」は値上げに慎重姿勢の企業が多く、値上げした企業でも酒類のみや、ランチメニューの値上げにとどまったケースが多い。

 一方、本紙の取材では、都内の中小飲食店の現場は顧客離れを危惧し、値上げを躊躇する様子がうかがえた。「何度も値上げすると飲食店は簡単に客足が遠のいてしまう。今のタイミングで値上げをすべきか悩ましい」(洋食店オーナー)、「外食需要は回復しきっておらず、現時点では消費者の使い勝手を優先する。値上げせず、食材の切り替えや独自メニューの開発で何とか踏みとどまる」(多業態企業役員)、「情勢が落ちついたら、上げ切った価格を今度は下げる価格競争に突入するだろう。右往左往するのではなく、ポーションを調整したり料理の見せ方を変えるなど、工夫して値上げせずに乗り切りたい」(居酒屋店主)、「以前は2人で料理とお酒を楽しみ、1万4000円ぐらいが相場だったが、今は1万2000円を超えると『高い』という印象を持たれてしまう。数ヶ月前に一度値上げしたため、これ以上は難しい」(バル店主)といった声が上がった。

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