まるで肉のような食感のジャックフルーツがベジタリアンブームの英国で脚光
ベジタリアンブームのなかで新たに英国市場に登場したジャックフルーツが、ヘルシーな肉の代替品としていま注目を集めている。ジャックフルーツの人気の背景や商品化の利点などを紹介する。
インドでは大半が捨てられていたジャックフルーツ
環境保護や健康意識の高まる英国では、肉の消費量が年々減少し、フレキシタリアンやベジタリアンが増えている。そのため、肉の代替品への関心が高まっており、マイクロプロテイン製品や豆腐、キヌア、豆類の消費量が増加している。そこに新たに登場したのがジャックフルーツだ。
ジャックフルーツは、インド南部のケララ地方の特産物として知られている。東南アジアでは主に料理に使われている。アジア最大の果実とも呼ばれ、長さ70cm幅40cm重さ40~50kgに達することもあり、果肉は熟すと甘くなる。肉の代替用にする場合は熟す前に収穫し、インドから輸出される。英国のスーパーでは、缶詰や冷凍食品として入手可能だ。
2017年に脚光を浴びるまで、このフルーツは低所得者層の食べ物として認知され、インドでは大半が捨てられていた。ところがピンタレストで2017年のトレンド商品として紹介されブームとなった。
英国紙ガーディアンの報道では、欧米のベジタリアンブームで、インドのケララ州の2018年のジャックフルーツの輸出量は500トンを記録し、2019年には800トンになったと推定されている。
参考サイト:
Quorns Mycoprotein Not Safe, CSPI Tells FDA, Again | Center for Science in the Public Interest(英語)
Jackfruit is a vegan sensation – could I make it taste delicious at home? | Food | The Guardian(英語)
What does jackfruit taste like? Business Insider(英語)
プルドポークに似た味わいに
なぜ、ジャックフルーツが肉の代替品になるのだろうか? それは従来の肉代替品において実現できなかった「肉の食感」を備えているからに違いない。英国では、たくさんのレストランがジャックフルーツ使用の独自のメニューを開発し、売り出している。
例えば、ピザ・エクスプレスでは「Vegan puttanesca pizza 」、グルメバーガーキッチンでは「Jack in a bun」にジャックフルーツを使い、ベジタリアンメニューに新たに加えた。
料理方法としては、プルドポーク風が最適であると言われるほか、さまざまなレシピが料理番組や雑誌などで紹介されている。
ジャックフルーツの缶詰は酢漬けと水漬けのタイプがある。中身は乱切りまたは細切れが一般的だ。調理前のジャックフルーツの食感は新鮮なタケノコに似ている。缶詰のジャックフルーツには独特な味はない。しかし調理後はプルドポークに似た味になると評されている。
ジャックフルーツ入りバーベキューソースには、細切れのジャックフルーツが甘めのバーベキューソースの中に入っている。ハンバーガー、サンドイッチ、ピザ、タコスに応用可能だ。
ジャックフルーツ入りマイルドカレーには、ココナツをベースとしたカレーに細切れのジャックフルーツが入っている。
ジャックフルーツの商品化で人にも環境にもやさしく
ジャックフルーツを商品化する利点は、第1に比較的カロリーが低いことであろう。肥満が深刻化しているイギリスでは、絶好の肉代替品になる。
第2としてジャックフルーツ自体が自然食品であり、添加物の摂取量を抑えることができる。
第3としてジャックフルーツを使うことで、廃棄量を削減し地球環境保護に貢献できる。ジャックフルーツを消費しきれずに、大半が捨てられているという現状を考えると、商品化する価値は大いにあると考えられる。(フードライター ラッド順子)