味なCMおっかけ話 違いの分かる男よいまいずこ? ネスレ日本

1996.09.10 12号 6面

ダバダ…で有名な“ネスカフェゴールドブレンド”の伝統的CMに新しい顔が登場した。「上質を知る人」シリーズの六代目は、劇団四季のトップスター、石丸幹二さん=写真。「キャッツ」などで活躍する、姿よし、演技よし、歌声よしの実力派若手俳優だ。

ところで、ダバダ…とくりゃ「違いのわかる男の」という言葉を思い出す。昭和45年からの一六年間、一九人もの「違いのわかる男」たちが、ダバダ…のコーラスをバックにインスタントコーヒーを飲んできた。

彼らはインスタントコーヒーのみならず、コーヒーそのものの宣伝マンでもあった。飲み物といえばお茶が主流であった当時、インスタントコーヒーはヨーロピアンタイプの“エクセラ”という商品が主力だった。それに比べてより日本人に好まれやすいマイルドな味のプレミアムコーヒーとして登場したのが“ゴールドブレンド”。

各界で活躍する文化人たちが「うん、これはいい」というのだから、一般ピープルとしては「ふーん」とうなずかざるを得ない。折しもの日本の高度経済成長にマッチして、インスタントコーヒーは知欲もミエも十分に満たしてくれる嗜好飲料として、一家に一びんの大普及を果たし、いまや国民の大部分が「違いのわかる」人となった。そしてバブルを経て、また女性の社会進出の背景も考慮してか、このCMの「違いのわかる男」は「上質を知る人」に交替した。

では、違いのわかる男はいまいずこ? とTVCMを探してみると…いたいた、今度は生ビールを飲んでいた。ビールの味なんてあまり気にすることのなかった時代に、「本物の味はこれだ」とTVCMで豪語したのはやはり各界で活躍中の男たち。おかげで“アサヒスーパードライ”は空前の大ヒットとなり、さらにビールの市場を変えたとすらいわれている。またしても違いのわかる男たちによる文化革命が起きたのだ。

食品のブームをつくるのは女子高校生など若い女性だといわれるが、一時のものでなくもっと大きく流れをつくり出すのは、男性たちなのかも。そのうち、化粧品や台所洗剤分野にも「違いのわかる男」たちが現れたりするかもネ!?

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