百歳への招待「長寿の源」食材を追う 「アユ」鉄分・カルシウムが豊富

1998.06.10 33号 14面

アユとコイは日本を代表する淡水魚。ともに古くから食べられ、日本人のスタミナの給源とされてきた。淡白さが身上。おいしく、しかもヘルシー、長寿食品としてもお勧めである。

(食品評論家・太木光一)

アユは日本・朝鮮半島・中国・台湾のみにみる特有の魚で、非常に古くから食べられていた。神功皇后が三韓征伐の時、アユを釣って武運を占ったことから「鮎」と書かれるようになったという伝説もある。古事記や日本書記にも出てくるほど古く、日本人に親しまれていた。

アユはマスに似て川で生まれ、幼時は海で育ち、また川に帰ってくる遡河魚。春になると群れをつくって川を遡り、始めは水の中の小さな虫や甲殻類を食べている。やがて歯が生えて、肉食から草食に移り、川底の水あかや石あかを歯でかきとって食べる。

清流に銀鱗をひるがえす姿は初夏の風物詩である。5~6月頃にアユは一○センチほどに成長し若アユと呼ばれる。この頃から棲みよい石あかの多い場所を占有するための激しい縄張り争いが始まる。

漁獲の解禁は成育の状況でマチマチ、多くは6月1日に行われる。形は細長く、色は黄色がかった淡い草色で腹部は白色、ウロコは細かく見た目も美しい。

アユは香魚とも呼ばれ夏の魚。優劣を決めるのは外観よりも腸の香気と渋味、苦味である。味は極めてデリケートで、同じアユでも獲れた川によって大差がある。また同じ川でも下流より上流で獲れた方が味が良いとされている。

豊後の日田川、岡山の旭川、土佐の仁淀川、四国の吉野川などが逸品。そして多く獲れるのは長良川、利根川、神通川など。

アユの旬は7~8月、最も元気で脂の乗りも良い。また秋風が吹くと産卵のため川を下るが、この頃の子持ちアユも賞味される。容姿も良く、味もサッパリして日本人の好みに合い、川魚の王とも呼べよう。

食べ方は塩焼きが一番、熱いうちにタデ酢で食べるのが最高。料理はうねり打ちまたはのぼり串といって、頭と尾がピンとはねたような姿で焼く。この場合、ワタは抜かない。ワタのほのかな味を楽しむためである。

このほか、さんしょの粉を混ぜた味噌をつけて焼く魚田、みりん・砂糖・しょう油で煮た甘露煮、粕漬けなどもある。最近では天ぷらやフライなどにもされている。落ちアユになると白焼きにして干したものを煮びたしなどに。洋風にする場合にはワイン蒸しや、茹でたり、ムニエルなどにしても食べられている。古来から日本各地で獲れるアユは、地方によっていろいろの食べ方があり、最も親しまれている川魚といえよう。

このアユは美容食・長寿食にも向いている。鉄分とカルシウムが多い。鉄分は貧血予防ばかりでなく、疲れやすく物忘れしやすくなる状態になることを防ぐ。脂肪の燃焼を助けてくれるビタミンB2、暑さ疲れの解消に役立つビタミンB1、内臓にたくさん含まれているビタミンAは、ガン予防ビタミンとして注目されている。

何よりも伝統の味として淡白で食べやすいことが利点。各地の河川で獲れるため郷土料理も豊富で、女性やお年寄りに喜ばれる味である。

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