保健機能食品って何だろう!? 消費者が自分の判断で選択できる
「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です」‐いままで国が認めた「特定保健用食品(特保=トクホ)」以外は、食品の効果や機能性を商品に表示できなかった。食品は、薬とは違うためだ。しかし、今年4月から、一定の基準を満たせば、国が定めた統一表示を使ってよい「栄養機能食品」が登場した。冒頭の文章はその一つだ。さらに特保と新たな栄養機能食品の二つをあわせて「保健機能食品」制度が新たにスタート。国の“お墨付き”によって機能性表示を許された同食品をわかりやすく紹介してみよう。「自分にあてはまりそうなのがあった」という人は、新制度をよく知って健康生活に役立てよう。
◆保健機能食品とは
そもそも保健機能食品制度は、健康ブームの中、消費者へ正しい情報の提供を行い、消費者が自分の判断で食品を選択できることを目的に、国(厚生労働省)が安全性や有効性を考慮して、一定の規格・表示基準を設定したもの。
保健機能食品のうち、食品の目的や機能の違いで、従来の「特定保健用食品(トクホ)」と今回新たに加わった「栄養機能食品」の二つのジャンルに分けられる。トクホは、一〇年前に生活習慣病の予防を目的に誕生。科学的に健康効果が証明されているものだけに具体的な機能表示が許されており、ヨーグルトや飲料など普段スーパーなどでよく目にするものをはじめ現在二五二品目ある。一方、栄養機能食品は、ビタミン類一二種類とミネラル類二種類とまだ市場に出たばかりで商品群は少ない。
上の図を見るとわかるように、保健機能食品は“食品”と名がついているものの、健康を保つ機能を持つものとして、薬と食品の中間に位置する。薬ではないけれども、普通の食品ともちょっと違う。健康に良く国が安全性を認めた“お墨付き”の食品だ。
◆「栄養機能食品」とは安心の印
今回新たに加わった「栄養機能食品」とは一体どんなものなのだろうか。
現在、鉄とカルシウムのミネラル二種類とビタミン類一二種類が認められている。ただし鶏卵以外の生鮮食品は除外。
従来の栄養補助食品との違いは、一日当たりの摂取目安量に上限値と下限値を示した点。基準値さえ守れば国への許可願いを出さなくても、「この商品は『栄養機能食品』です」と表示できる。消費者にとっては安心して買い物ができるというメリットを持つ。
厚生労働省新開発食品保健対策室では「食品の安全性と有効性を第一の目的にした制度。通常の食品では足りない必要栄養素を補給したり補完したりするもの」と述べている。
今後は、今回対象外になったミネラル類、ビタミン類、タンパク質、脂肪酸、食物繊維、ハーブ類なども検討していく。
●こんな商品が登場
(株)ファンケルでは東京・八重洲地下街の直売店「元気ステーション」で『マルチビタミン』を販売中。店頭ではコーナーを作るなどして消費者にわかりやすいような売り場づくりをしている。
鶏卵では、早くもイセ食品(株)が先陣を切って『森のたまごe卵(イーたまご)』、『ビタミンD卵』を今夏から発売。すでに目にした人もいるのでは?。同社では「食のあり方や安全性に国が一つの判断基準を示した。メーカーとして、健康ニーズにいち早くこたえることで消費者の健康生活に寄与したい」と開発の背景を語っている。
そのほかハウス食品の『PURE-IN(ピュア‐イン)』鉄粉果汁ドリンクも表示がされている。
栄養機能食品はまだまだ数が少ないので、スーパーなどで買い物をする時、よく注意してみよう。今後どんな商品がでてくるか、楽しみだ。
●どんな表示?
それでは、どんなふうに表示されているか。「消費者から『表示を統一してほしい』という声があった」(厚生労働省)ため栄養機能表示は一言一句統一されている(表参照)。注意表示には「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の目安量を守ってください」と明記。さらにビタミンAには「妊娠三カ月以内または妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないように注意してください」、葉酸には「本品は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません」とそれぞれ書かれている。
◆10年先輩のトクホ
食品には、(1)生命維持のための一次機能(栄養)(2)食事を楽しむ二次機能(味覚)(3)体調調節や疾病予防、老化防止など健康を維持する三次機能(体調調節)‐の三つがあり、中でも、国民医療費が上がっていくなかで(3)に注目し開発されたのがトクホ。身体の生理活性機能調整を目指した食品で、健康の維持増進に役立つことが科学的に証明されたものだけが、トクホマークを付けて具体的な機能を表示できる。例えば、「血圧が高めの方に」とか「血糖値が気になり始めた方に」などの言葉がそうだ。
栄養機能食品よりも一〇年先輩で消費者にもだいぶ浸透してきているが、店頭で販売されている商品もあれば、通信販売のみの商品もある。
●元気のいいトクホ商品
(株)ヤクルト本社の「血糖値が気になる方」向け『蕃爽麗茶』は、昨年6月からトクホの表示をアピールすることで、消費者に明確に効果が伝わるようになった。また味覚的にもおいしいのがウケた。「この時代、生活習慣病にかかわるトクホの役割は大きい。トクホをアピールすることで、消費者の知識も増えていく。もちろん、食事ばかりではなく、運動、睡眠なども大切」(同社広報室)としている。
「血圧が高めの方に」おすすめの『カルピス酸乳アミールS』もトクホあっての商品だ。『アミールS』の機能性は先頃、世界的に権威のある米国IFTから「産業発展功労賞」を受賞。トクホの取得と海外からの高い評価で、世界に認められた健康飲料となった。「トクホで発売することを目標に開発した。アミールSはトクホと切り離せない商品」(カルピス(株)広報部)という。
揚げ物が大好きだけれど、コレステロールや中性脂肪が気になるという人には、花王(株)の『コレステロール健康エコナ』などがある。コレステロールを下げ、脂肪もつきにくいのが特徴。トクホをとっている食用油は同シリーズだけだ。