72候を楽しむ漢方スローライフ(85)葭始めて生ず

2017.04.01 261号 08面
春菊のフルーツ入り薬膳サラダ

春菊のフルーツ入り薬膳サラダ

 春の雨に草木が潤う(穀雨初候 4月20~24日頃)

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 水辺の葭(あし)が芽吹き、新緑がみずみずしく輝き始める頃。この時期の天気は移ろいやすく、しっとりと雨が降る日も多くなります。長雨はうっとうしくもありますが、穀物を育み、草木を潤す大切な天の恵み。日差しが強まるまでもう少し、春の日々をのんびり楽しみましょう。

 ●「乗り物酔い」は胃腸の不調から

 初夏を迎えるこれからの時期は、絶好のお出かけシーズン。連休に旅行やドライブを計画している人も多いのでは?

 その際、気になるのは「乗り物酔い」。せっかくの旅行で不快な思いをしないよう、早めに体調を整えておきましょう。

 漢方では、乗り物酔いの主な原因は、体内にたまった「余分な水分」と考えます。身体の水分代謝を担うのは、主に胃腸の働き。そのため、胃腸の調子が悪いと余分な水分がたまりがちになり、乗り物酔いを起こしやすくなるのです。

 胃腸の機能が未熟な子どもは、特に乗り物酔いを起こしやすいので要注意。食欲不振や胃もたれ、疲労感、倦怠感などがある場合は、胃腸が弱っているサインと考え早めのケアを。

 ●余分な水分をスッキリ除去

 乗り物酔いを予防するポイントは、身体の余分な水分を取り除き、胃腸の働きを健やかに整えること。この時期は汗ばむことも多くなりますが、水分補給は適量を心がけ、過剰な水分を取らないよう気をつけましょう。冷たい飲食や飲みすぎ・食べすぎなども、胃腸の負担になるので注意。

 食材は、胃腸を整え水分代謝を良くするブロッコリースプラウト、たまねぎ、えんどう豆、とうもろこし、はと麦、食欲を促す春菊、きんかん、ラディッシュなどを積極的に取りましょう。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:春菊のフルーツ入り薬膳サラダ

 フルーツやたまねぎの理気作用、春菊の香りですっきりさせて、利水作用のある海藻やとうもろこしで水分代謝をスムーズにさせます。

 エネルギー92kcal たんぱく質2.3g 塩分0.8g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・春菊……………………………60g

 ・ブロッコリースプラウト……1パック

 ・たまねぎ………………………1/8個

 ・きんかん………………………3個

 ・ラディッシュ…………………1個

 ・とうもろこし(ホール)……小1/2缶

 ・焼きのり………………………1枚

 ・塩………………………………小さじ1/4

 ・松の実…………………………小さじ1/2

 ・ごま油(白)…………………大さじ2/3

 <作り方>

 (1)春菊は葉を取り、茎は斜め切りにする。きんかんとラディッシュは薄い輪切りに。たまねぎは薄切りにして水にさらし水気をきる。焼きのりは粗くちぎっておく。とうもろこしは缶の水分をきっておく。スプラウトは根を除く。

 (2)(1)をボウルに入れて塩をふり、ごま油を煙が出る前まで熱しボウルに加えてあえる。焼きのりを全体にあえて盛り付ける。

 レシピ:村田喜久子(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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