72候を楽しむ漢方スローライフ(85)葭始めて生ず
春の雨に草木が潤う(穀雨初候 4月20~24日頃)
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水辺の葭(あし)が芽吹き、新緑がみずみずしく輝き始める頃。この時期の天気は移ろいやすく、しっとりと雨が降る日も多くなります。長雨はうっとうしくもありますが、穀物を育み、草木を潤す大切な天の恵み。日差しが強まるまでもう少し、春の日々をのんびり楽しみましょう。
●「乗り物酔い」は胃腸の不調から
初夏を迎えるこれからの時期は、絶好のお出かけシーズン。連休に旅行やドライブを計画している人も多いのでは?
その際、気になるのは「乗り物酔い」。せっかくの旅行で不快な思いをしないよう、早めに体調を整えておきましょう。
漢方では、乗り物酔いの主な原因は、体内にたまった「余分な水分」と考えます。身体の水分代謝を担うのは、主に胃腸の働き。そのため、胃腸の調子が悪いと余分な水分がたまりがちになり、乗り物酔いを起こしやすくなるのです。
胃腸の機能が未熟な子どもは、特に乗り物酔いを起こしやすいので要注意。食欲不振や胃もたれ、疲労感、倦怠感などがある場合は、胃腸が弱っているサインと考え早めのケアを。
●余分な水分をスッキリ除去
乗り物酔いを予防するポイントは、身体の余分な水分を取り除き、胃腸の働きを健やかに整えること。この時期は汗ばむことも多くなりますが、水分補給は適量を心がけ、過剰な水分を取らないよう気をつけましょう。冷たい飲食や飲みすぎ・食べすぎなども、胃腸の負担になるので注意。
食材は、胃腸を整え水分代謝を良くするブロッコリースプラウト、たまねぎ、えんどう豆、とうもろこし、はと麦、食欲を促す春菊、きんかん、ラディッシュなどを積極的に取りましょう。
◆ハレの日薬膳レシピ:春菊のフルーツ入り薬膳サラダ
フルーツやたまねぎの理気作用、春菊の香りですっきりさせて、利水作用のある海藻やとうもろこしで水分代謝をスムーズにさせます。
エネルギー92kcal たんぱく質2.3g 塩分0.8g(1人分)
<材料・2人分>
・春菊……………………………60g
・ブロッコリースプラウト……1パック
・たまねぎ………………………1/8個
・きんかん………………………3個
・ラディッシュ…………………1個
・とうもろこし(ホール)……小1/2缶
・焼きのり………………………1枚
・塩………………………………小さじ1/4
・松の実…………………………小さじ1/2
・ごま油(白)…………………大さじ2/3
<作り方>
(1)春菊は葉を取り、茎は斜め切りにする。きんかんとラディッシュは薄い輪切りに。たまねぎは薄切りにして水にさらし水気をきる。焼きのりは粗くちぎっておく。とうもろこしは缶の水分をきっておく。スプラウトは根を除く。
(2)(1)をボウルに入れて塩をふり、ごま油を煙が出る前まで熱しボウルに加えてあえる。焼きのりを全体にあえて盛り付ける。
レシピ:村田喜久子(東京栄養士薬膳研究会)
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24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。