ヘルシートーク:マスターソムリエ・高野豊さん

2017.08.01 265号 05面
写真右から「デリタリア・ランブルスコ(赤)」「クラロ・ソーヴィニヨン・ブラン(白)」「クラロ・シャルドネ(白)」

写真右から「デリタリア・ランブルスコ(赤)」「クラロ・ソーヴィニヨン・ブラン(白)」「クラロ・シャルドネ(白)」

 この夏、ダイエーのワイン売り場に「チーム高野」が発足しました。お客さまに本当に合ったワインをおすすめするのがこのチーム。ワインの好みは、生まれ育った環境や性格が決め手になるとか。20年の研究結果からメソッドを構築、全国各地から引っ張りだこの高野氏に、そのポイントと、この夏オススメのワインをお聞きしました。

 ●ワインの話をすれば、人柄やいまの環境が分かる

 ワインの好みには、飲む人の性格や現在の身体の状況、育った環境が驚くほど反映されます。お客さまのお顔を見ながらお話しすれば、大体のお好みが分かります。それは世界共通。そのことに私は20数年前に気付きました。以来、同じワインが好きな人をグループ分けして相関関係を研究し、このメソッドを作り上げました。

 具体的にお話ししましょう。あなたは白ワインと赤ワイン、どちらがお好きですか。白ワイン?そうですか。

 白ワインが好きな人は協調性のある人です。きっとあなたの周囲、地域や会社、学校でみなさんと合わせるのが上手な方ですね。

 白ワインが好きな場合でも、2つのグループに分けられます。有名なブドウの品種、シャルドネ。このシャルドネが好きな人とそれ以外が好きな人は、違うグループなんです。シャルドネ好きは頭の良い人、そして遊び人ですね(笑)。そうでないグループ、例えばソーヴィニヨン・ブランなどを選ぶ人は純粋な人が多いです。

 赤ワインが好きな人はマイペース。会社から独立して事業を起こす人は大体、赤ワイン好きです。赤ワインは、重たいカベルネ・ソーヴィニヨン系か、やわらかめのピノ・ノワール系が2大勢力です。カベルネはよりマイペース傾向が強い。ピノ・ノワールは、協調するけれど、最後に言うことを聞かないタイプ。どちらもなかなか手ごわいですね(笑)。

 ●ワインの好みは地域で変わる!?同じ人でも、時がたてば変わる!?

 ワインの好みは、地域によって比率が違うんです。例えば、東京の店頭でみなさんのお好みを聞くと、ピノ・ノワール好きとカベルネ・ソーヴィニヨン好きは同比率。ところが島根県の松江で同じことをすると、カベルネ・ソーヴィニヨン好きが10人中9人。面白いでしょう?

 では、その人の好みがずっと同じかというと、そうではない。例えば、赤ワインがずっと好きだったのに最近は白ワインが好きになったという場合。プライベートかお仕事で、いろいろ無理されているのかもしれませんね。発泡系のワイン、スパークリングが好きな人は真面目で気が短い傾向があります。ビール好きの人も同じ。育った環境でいうと、3人兄弟や5人兄弟の真ん中。真面目なんです。そして、気が短い。そういう人は喉が渇きやすいんですよ(笑)。

 みんなで飲む、この夏のおススメですか?イタリア北部のデリタリア・ランブルスコの赤のスパークリングワインはいかがでしょうか。多くの要素を含んでいるので万人向き。スパークリングはポリフェノールの吸収が良いのが特徴です。夏なので冷やして飲んでください。夏のスタミナ食、ウナギのかば焼きによくマッチします。

 ●ワインなら、合わせる野菜は「蒸す」か「煮る」

 ワインに野菜料理を合わせる場合は、ぜひ蒸すか煮てください。特に葉物。でも、きょうはどうしてもワインも飲みたいけれどサラダも食べたい、そういう時もありますよね。そんな時はチーズをかけると格段に相性が良くなります。パルミジャーノ・レッジャーノが最高ですね。ワインはスパークリングが合います。

 白ならばチリ産のクラロ・ソーヴィニヨン・ブランかクラロ・シャルドネ。ハンバーグステーキは赤ワイン。ピノ・ノワールとカベルネ、どちらでも合います。ビーフステーキはカベルネ。肉じゃがやフライドチキンはワインを選びません。

 もう少ししたら、おいしい季節になるサンマ。大根おろしをたっぷりつけて、赤ワインのデリタリア・ランブルスコを。サンマにしょうゆをかければ、赤ワインも合いますよ。しょうゆは世界で一番乳酸が多い調味料です。フレッシュなワインは乳酸がないけれど、熟成したワインは乳酸がいっぱい。だから、しょうゆに合うんです。同じように、パルミジャーノ・レッジャーノなど、長期熟成の古いチーズとカベルネ系の赤ワインは、最高のマッチングです。

 「チーム高野」はこれまで、イオンで3人体制で展開してきました。今夏編成したダイエーでは5人体制です。このメンバーで全国の店舗を回って行きますから、楽しみにしていてください。

 ◆プロフィール

 たかの・ゆたか 1951年、長野県生まれ。国内に50数人しかいないマスターソムリエのひとり。イオンリカーのアドバイザーとして活躍するほか、ホテルでのサービス、ワインを楽しむ会の講師、ワイナリーの立ち上げなどに携わる。加えて、長野県原産地呼称管理制度の創設やその普及活動、ワインのブランド化など守備範囲が広く、「農業系ソムリエ」と呼ばれている。2006年にはこれまでの功績が認められ、田中康夫県知事(当時)より表彰を受けた。

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 ◆マスターソムリエ高野豊氏 この夏のおすすめ

 ○デリタリア・ランブルスコ(赤)

 イタリアのロジット&グアリーニ社が持つ醸造技術の集大成ともいえる微発泡性ワインです。冷蔵庫などで6℃くらいに冷やすと、華やかな香りとはつらつとした果実味が見事に引き立ちます。

 ○クラロ・ソーヴィニヨン・ブラン(白)

 チリ産ソーヴィニヨン・ブラン種からつくられたフレッシュな印象のワインです。かんきつ類を思わせる香りを持ち、天ぷらやフライ、白身魚等と絶妙に調和します。

 【辛口/ミディアムボディ】

 ○クラロ・シャルドネ(白)

 国際的なコンクールで数多くの金賞を受賞し注目を集めるチリのワイナリーの作品です。最新の醸造学に基づいてつくられており、新時代を象徴する1本といえます。

 【辛口/ミディアムボディ】

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