「紅まさり」は持ち帰ってもおいしいよ♪ 焼き芋ホカホカコーナー物語 JAなめがたしおさい
焼き芋の温かさに癒される季節。野菜売り場の、あのホカホカとしたコーナーは、いまでこそ当たり前ですが、誕生し定着するまでは長い物語がありました。
茨城のJAなめがたしおさいに聞きました。
●紅まさりは焼き芋の立役者
これからの時期、焼き芋でおいしいのは紅まさり、紅優甘(品種は紅はるか)から、品種リレーしていきます。
焼き芋は、この紅まさりが世に登場したからこそ、ここまで広がったと言われています。
スタートは静岡・マックスバリュ東海のリクエストから。「2003年頃、紅あずま系の品種でスタートしました。ただし、大学芋や天ぷらならおいしいけれど、焼き芋にすると30分でかたくなるという課題がありました。その中で翌年、茨城の試験場で紅まさりと出会います」(営農経済部・金田富夫部長)。
30人の農家に苗を配り試作しましたが、つくりやすくはなかったようです。けれど、焼いてみたらおいしく、広げたいと思ったとのこと。ところが、袋詰めにした紅まさりは1週間で芽が出てしまい、大量の返品が発生しました。結果、集荷場の冷蔵庫に入れられたまま2カ月が経ちました。
●子どもとママたちが「おいしい!」と
しかし紅まさりは運が強かったのかもしれません。「12月に子どもたちのサッカー大会がありました。寒いから焼き芋がいいだろうと。さつまいもの芽に毒はないので、きれいに取れば大丈夫。焼いてみたらお母さんたちも子どもたちもおいしい!おいしい!と。焼き芋はこれだ!と確信しました」(同)。
後に、定温状態で貯蔵したことででんぷんが糖化し、さらにおいしくなったことが分かりました。
JAなめがたしおさいは行方台地の背骨にあり、霞ヶ浦と北浦の地にはさまれた水はけのいい地域。おいしい芋づくりの条件が揃っています。その後も茨城の試験場や焼き芋機メーカーと研究を重ね、「店頭の焼き芋」はイオン系列スーパー全域に広がり、めざましい進化を遂げていきました。
同時に、「おいしい・やわらかい・甘い・糖化しやすい」紅まさりを元にしたさつまいもが世の主流になっていきました。
たくさんの人々の協力と長い時間のそんな物語に感謝しつつ、おいしい焼き芋、いただきましょ♪