ニューノーマル食品界どう挑む:製パン業界 複数入り袋物強化

小麦加工 ニュース 2021.01.06 12168号 01面
ニーズが高まっている袋物商品

ニーズが高まっている袋物商品

 ●食事系パン、需要拡大傾向続く

 コロナ禍により、企業が在宅勤務を進めたことに伴う内食需要の拡大で、製パンメーカーの売れ筋商品が大きく変化した。調理パン、菓子パンなど簡便性が高い即食系のパンの売上げが減少し、食パン、食卓ロールなど食事パン系アイテムの売上げが増加した。本紙が20年12月に大手製パンメーカーに行ったアンケート調査で明らかになった。12月の段階である製パンメーカーは「20年の緊急事態宣言時から続いた傾向は、若干落ち着きが見られるが、収束する兆しがない、この傾向は継続する」と分析していた。新型コロナウイルス感染症は、年が明けても拡大が止まらず、4日、菅義偉首相は首都圏の1都3県を対象にする緊急事態宣言の検討に入ったと明らかにした。前回よりも自粛要請は限定的とされるが、大手企業を中心に、在宅勤務をさらに進めることが予想され、食事系パンの需要の拡大傾向は続くことが予想される。(青柳英明)

 在宅傾向が高まると、調理パン、菓子パンの需要が減少するのには複数の要因がある。一つは主要販路であるコンビニエンスストアが、テレワークの増加などでビジネス街を中心とする都心店舗で来店客数が減少していることだ。

 また、在宅傾向の高まりによる家庭内調理の増加がある。ここ数年、調理パンや菓子パンが好調だったのは、有職女性の増加による、家庭内調理時間短縮に寄与できる特性を持っていたことや世帯数の少人数化による個食化の進行などにより、「1食完結型」で2~3日の消費期限を持つ調理パンの価値が評価されたことが要因だ。在宅時間の増加で、時間の余裕ができたことで、こうした価値は相対的に低下した。

 さらに、内食化の影響で、ライバルとなる食品が増加したこともある。電子レンジで加熱すると本格的な味わいが楽しめる冷凍食品は、コンビニエンスストアで購入するサンドイッチと同様の価格でパスタを購入することができる。さらに、在宅時間の増加で、手作りを楽しむ人も増加し、ホットケーキミックスなどプレミックス粉の需要増の影響も受けたようだ。

 こうした状況を受け、製パンメーカー各社も、売上げを伸ばしている複数のパンが入った袋物商品の強化に着手している。山崎製パンは、袋製品の新シリーズ「BAKEONE」を展開。ファミリーユース向けで、買い置き需要にも対応。さらに、食事パンからおやつパンまで豊富なラインアップで、朝食から昼食、夕食までをカバーする。シリーズには、販売が好調の「塩バターフランスパン」を再編。「しっとりクリームパン」「たまごぱん」など15アイテムを全国統一アイテムとする。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら