食肉加工品特集
◆食肉加工品特集:新機軸商品の開発に期待 主力カテゴリー低調
食肉加工品業界を取り巻く環境は厳しく、量販店では定番商品中心の展開が続き、新商品の導入が難しくなっている。ハム・ソーセージについては、既存主力商品のシェア争いが激しく、単価が下げ止まり傾向となっている。また、物流コスト・人件費増などの経費負担が大きく、収益性が悪化している。一方で簡便ニーズが高まる中、ハンバーグや惣菜類などの調理加工品は、伸長傾向にある。18年は前年同様その他ハムに分類されるサラダチキンの大幅伸長で、ロースハムの落ち込み分をカバーし、18年(1~12月)の生産数量は前年比80t増の55万4342tと、わずかに前年を上回った。メーカーの存在感を示すためには、今後は同質化の価格競争だけではなく、差別化につながる消費者視点に立った価値訴求商品、新機軸商品の開発が不可欠となっている。(廣瀬嘉一)
●激しいシェア争い
近年、食肉加工品生産数量は比較的堅調に推移し、50万t台を維持しているが、15年はWHOが発表した食肉加工品に対するネガティブな情報が消費に大きな影響を及ぼし、前年実績を下回った。16年以降は回復傾向を示し、18年は前年同様その他ハムに分類されるサラダチキンの大幅伸長により、ロースハムの落ち込み分をカバーし、18年(1~12月)の生産数量は前年比80t増の55万4342tとわずかに前年を上回った。
今年に入ってからは主力のロースハム、ウインナーソーセージが低調に推移している。19年1~2月累計の食肉加工品生産数量は、▽ハム類1万3983t(前年比1.9%減)▽プレス類3330t(同8.0%減)▽ベーコン類1万4333t(同1.8%増)▽ソーセージ類4万6038t(同2.9%減)▽総合計7万7685t(同2.2%減)と、ベーコン類以外は前年数値を下回っている。サラダチキン(その他ハム)は前年比13.3%増と依然伸長している。
18年の商戦は、ドラッグストアやディスカウントストアなど業界の垣根を越えた価格競争の激化や、ハム・ソーセージ以外の簡便商品へのシフトの影響もあり、サラダチキンの伸長が目立つほかは、主力カテゴリーは前年を割り厳しい戦いとなった。
食肉加工品業界を取り巻く環境は厳しく、量販店では定番商品中心の展開が続いており、新商品の導入が難しくなっているが、現状打破に向けて、小売バイヤーは「高品質軸の商品開発」や「ロースハムが飽和状態となる中での、ハム群の新たな商品」「低価格・大容量商品のような価格訴求商品、ブランドスイッチ商品ばかりではなく、コストがかかり価格が高くなったとしても、お客さまが調理するときに便利な商品やパッケージ、包材の商品」などを要望している。また、PB商品は若干縮小傾向となっているが、差別化商品として、小売側からの要請が高まっている、留め型商品の開発強化がさらに進みそうだ。
今後も弁当・即食・簡便商品としてのハム・ソーセージの需要は比較的安定して推移するものの大幅な伸長は望みがたく、19年春夏新商品については、伸長カテゴリーである調理加工品を中心に開発を進め、メーカー各社は調理加工品のラインアップ拡大を図る方針だ。