加工わさび市場が縮小傾向 家庭用の徳用サイズは伸びが続く

わさびは着実に肉類に浸透している

わさびは着実に肉類に浸透している

加工わさび業界はこれまで堅調な推移を続けてきたが、今上期は家庭用、業務用ともに厳しい状況となった。ゴールデンウイーク前までは駆け込み需要があり、前年を上回って推移していたが、ゴールデンウイーク明け以降はその反動と7月の台風や冷夏などの影響で数字は伸び悩んだ。しかし秋以降は家庭用では回復傾向が見られる。業務用の国内は厳しさが残るものの、本格的な需要期である年末に向け需要回復が期待される。

年末需要の回復に期待

チューブタイプと粉わさびを含む家庭用加工わさび全体は、今年9月までの直近1年間の市場を見ると売上高は前年比0.8%減となった。チューブタイプが同0.3%減、粉わさびが同10.3%減となり市場は前年を割り込んで推移している。

チューブタイプの内訳を見ると、廉価品が同0.9%減、「本生」や「特選」などの主力品が同3.3%減、高級品が同0.8%増となっている。徳用サイズは好調を持続し同13.9%増の実績。これまで家庭用の加工わさび市場は堅調な推移を続けてきたが、今年度に入り市場は縮小傾向が鮮明となっている。

わさびは着実に肉類に浸透している

この傾向はゴールデンウイーク明け以降から表れはじめ、特に台風と冷夏の影響が大きかった7月が大きく数字を下げた。7月単月で見ると、全体で同14.8%減となり、徳用サイズ以外のすべてのジャンルで2桁以上数字を落としている。

この傾向は加工わさびの業務用とも共通している。ただし、8月以降は徐々に回復傾向にあるとの話もあり、今後年末の本格的な需要期を控え、市場の伸びが期待されるところだ。

KSP-POSデータの2018年10月から今年9月までの1年間を見ると、トータルの金額は前年比2.4%減となっている。ベスト10のうち、前年を上回ったのは5位のエスビー食品の「お徳用おろし生わさび」と7位のエスビー食品「本生きざみわさび」の2品のみとなる。ほかはすべて前年を下回っている。

家庭用全国年間シェア(2018年10月~2019年9月)

エスビー食品の9月までの1年間を見ると、加工わさび類トータルでほぼ前年並み、「本生」と高級タイプの「名匠」が前年を上回った。廉価品が前年を割り込んだが、徳用サイズは好調を持続している。「本生きざみわさび」は堅調に推移している。

ハウス食品は今上期でチューブタイプのトータルで前年比5.1%増と好調に推移している。同社は徳用サイズを2月から発売している。今後はこの伸びが期待される。

エスビー食品は家庭用チューブタイプや即席製品を製造する上田工場に新棟を建設し12月から稼働を開始する。最新鋭の設備を導入することで、安全・安心や生産体制の強化を図っていく。

家庭用の加工わさび類はこれまで堅調な推移を続けながら、肉類に合うきざみわさび類の発売などで需要の底上げを図ってきた。5月以降の市場は縮小傾向にあるが、本格的な需要期である年末を控え徐々に市場は回復傾向にあるともいわれている。徳用サイズや年末に需要が増加する「ホースラディッシュ」の動きに期待は高まっている。

※日本食糧新聞の2019年11月18日号の「加工わさび特集」から一部抜粋しました。

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