醤油市場、止まらない消費減 増税前のついで買いの反動減も

醤油大使はTBSアナウンサーの安住紳一郎氏が務めるなど、協会による基本価値の向上策もそろう(10月の醤油の日の集い、写真は左から博士功労賞の山川晃生氏、岩本行弘氏)

醤油大使はTBSアナウンサーの安住紳一郎氏が務めるなど、協会による基本価値の向上策もそろう(10月の醤油の日の集い、写真は左から博士功労賞の山川晃生氏、岩本行弘氏)

醤油市場は今年も消費減に歯止めがかからなかった。消費増税前についで買い需要を得たが、反動減も大きかった。中食市場の拡大に応じて、加工調味料・チャネルへ移行。ダウンサイズを付加価値に昇華する革新は、家庭用の密封・鮮度容器で先行する。主戦場になりつつある、加工・業務用市場でも価値と収益が高められるか。今後の市場継続の焦点になりそうだ。

醤油の出荷量は9月まで前年比1%減で推移し、2006年以降の毎年の縮小を続けた。頼みの輸出実績も同期は3.4%増と例年より低調。9月の増税前の日用雑貨、酒類のまとめ買いの際に、コメや基礎調味料も同時に購入された。

上期より復調したが、以後の特に11月に反動を受けた。大手5社の同月の出荷速報値は前年比5%減。2016年にピークからの4割減に陥ったまま、今年の縮小幅を第3四半期より大きくしそうだ。

醤油大使はTBSアナウンサーの安住紳一郎氏が務めるなど、協会による基本価値の向上策もそろう(10月の醤油の日の集い、写真は左から博士功労賞の山川晃生氏、岩本行弘氏)

市場は家庭向けから加工・業務用、商品は専用レシピの鍋つゆ、汎用(はんよう)性を増した白だしなどの加工調味料へ需要を移している。超高齢化と少子化の総活躍社会では内食減の中・外食増は必然。醤油自体も加工用のローリー出荷は3割を超え、業務用10~20L容器も同じ3割近くまで成長した。

家庭用の消費減を、従来無かった価値提案に生かしたのが密封・鮮度容器。開封後も常温で品質を長期保ち、少量の普段使いでもおいしさを高め、気づかせ、高い収益性で売場に定着した。3%に満たない数量シェアながら金額では家庭用だけで3割を超えたとみられ、発売10年で容量減でも単価アップという新たな時代を開いた。

密封醤油は売場の定番品となってすでに劣化防止の鮮度訴求は控えめ。減塩の健康志向、低塩効果もあるだしや味付けの変種を増やし、普及による同質化、値崩れを防いでいる。多くは酸化を軽減する二重構造で大型にするのが難しく、主流だった1Lの半分以下となる450mlが中心。全国で6割に達する小世帯ニーズをとらえ、業務筋でも弁当調理などの小規模店は450mlで十分とする向きも多い。

200mlが外食店の卓上に浸透する半面、一斗缶や10Lは停滞している。昨年はキッコーマン食品の「ステーキしょうゆ〈トリュフ風味〉〈和山椒風味〉」570gペットボトルがヒットし、少量・加工のトレンドは業務用でも明白。醤油の容量提案も来春、さらに深まりそうだ。

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