家飲み拡大で人気のビール系新ジャンル プライベートブランド6品を比較検証

飲み比べたビール系新ジャンル6種

飲み比べたビール系新ジャンル6種

コロナ禍で外食店向け業務用ビール類の売れ行きが苦戦しているなか、「家飲み」の傾向が高くなり家庭内でのビール系新ジャンル(第3のビール=ビール・発泡酒を除くビールテイスト飲料)の消費量が増えている。100円前後で楽しめる気軽さだけでなく、「糖質オフ」、「糖質・プリン体ゼロ」など健康面を気づかった商品も増えるなど、選択肢の多さが人気を支えている。今回は、6社のプライベートブランドによるビール系新ジャンルを飲み比べ、人気の要因を考察する。

10月からの増税で真価が試される新ジャンル

アサヒビールやキリンビールなどのナショナルブランドだけでなく、コンビニエンスストアや大型スーパーによるプライベートブランドの新ジャンルの勢力の拡大が気になるところ。なかには大手ビールメーカーとのコラボ商品や、限定品も発売されているようだ。

一方で、10月1日から酒税法の改正で、新ジャンルは1リットルあたり28円の増税が決まっている。「安い」ことが売りだった新ジャンルの販売動向や価値訴求に変化も見られるようになるかもしれない。

今回は、6社のプライベートブランドによるビール系新ジャンルを飲み比べ、以下の評価項目で考察する。

<評価ポイント>
・全体的な味わい(満足感)
・ビールらしさ(コク、キレ、辛口感など)
・缶デザイン(わかりやすさ、プライベートブランドであることの明記など)
・価格(コスパ、アルコール度数やビール感といった価値も考慮)
・購買意欲(リピーターがつきそうか)

セブン&アイ「ザ・ブリュー」 ビール好きには十分なビール感

厳選麦芽・100%天然水使用にこだわるセブン&アイグループの「ザ・ブリュー」。プライベートブランド商品でありながら、「サントリーとの共同開発」というのが購入者への安心感を与える。

セブン&アイグループ「ザ・ブリュー」

キリッとしたブルーの中に、泡たっぷりのビールのデザインの通り、さわやかにそして華やかな味が口に広がる。ビールほどの麦芽感はなくとも、爽快な飲み口は喉を十分に刺激してくれる。バーベキューなどで焼いたばかりの熱々の肉に合いそうな、気持ちのよい飲み心地がある。軽く残る後味も悪くない。

「ザ・ブリュー」の栄養成分表示

税込みで125円であることと、十分なビール感を考慮すれば、「買い」のビール系新ジャンルと言える。「ザ・ブリュー 糖質70%オフ」も同じ列に陳列されているので、糖質やカロリーを抑えたい人はそちらが「買い」になる。

リキュール発泡性(1)。アルコール分5%。125円税込み。350ml缶。

ローソン「ゴールドマスター」 手に取りやすいシンプルデザイン

「ゴールドマスター」は、ローソンのプライベートブランド全体のデザイン一新に伴い、本品もシンプルかつ色味が可愛らしいボトルデザインになり、女性が手に取りやすそうな印象。国内醸造に切り替え、製造はキリンビール。

ラベル記載の「シャープで爽快な味わい」の通り、サッと口の中で踊る炭酸とドライかつスムーズに残る麦芽感や、多少時間が経ってから飲んでもその感覚が変わらないのは素晴らしい。炭酸のそれほど強くないビールが好きな人には好みが合いそうな味わい。つまみがあってもなくても楽しめる。

ローソン「ゴールドマスター」

税込みで110円という安さとマイルドな飲みやすさを一度味わえば、かなりパフォーマンスが高いことに気が付く。本品も糖質削減した「ゴールドマスターオフ」を同時に陳列している。

リキュール発泡性(1)。アルコール分6%。110円税込み。350ml缶。

ファミリーマート「クリアモルト」 気持ちが良いほどにごくごく飲める

ファミリーマートの「クリアモルト」はキリンビール製造というだけあって、キリンらしいモルト感が好きな人であれば、本品一択といってよいほどかもしれない。ファミリーマートにとっては初のビール系新ジャンルの開発ではあったが、丁寧な味わいが特徴的だ。

ホップの華やかな味わいと、ごくっと飲めるちょうどよい口当たりの重さはパッケージのブルーとゴールドにマッチする。アルコール分6%なので少し強めの喉ごし。味の濃いおつまみと一緒に飲むと最高だろう。

ファミリーマート 「クリアモルト」

全体的にはさっぱりしているが、ツンと来る酸味もあるので、ビールが少し苦手な人であれば「糖質70%オフ」の方を選ぶとよいかもしれない。

リキュール発泡性(1)。アルコール分6%。123円税込み。350ml缶。

イオン「トップバリュ バーリアル糖質50%オフ」 ビール系新ジャンル最安値クラス

イオンのプライベートブランドであるトップバリュの 「バーリアル糖質50%オフ」はアルコール分4%、糖質50 %オフとなるので、喉越しやビール感の強さを求める人よりも、「さらっ」と飲める気軽さを求める人に向いている。

6社プライベートブランドのビール系新ジャンルの中で一番価格が安いのが「バーリアル」シリーズ。「こんなに安いのにおいしい」というのが一口飲んでの正直な感想だった。製造は、キリンビール。

イオン「トップバリュ バーリアル糖質50%オフ」

1杯目というよりは、何杯目かとして飲むのがちょうどよい選択になる味わい。おつまみなしで楽に飲めるうえに、価格の安さを振り返ってみれば、冷蔵庫に数本確保しておいてみたくなる。

糖質オフでない「バーリアル」や「バーリアル リッチテイスト」はアルコール分6%なので、こちらよりも強い飲み応えが楽しめる。

リキュール発泡性(1)。アルコール分4%。78円税別。350ml缶。

カクヤス「K-PRICE グランリッチ糖質70%オフ」 プロの品評審査で評価

酒店のカクヤスのプライベートブランド「K-PRICE」のビール系新ジャンル「グランリッチ糖質70%オフ」は、糖質70%オフでありながらもさわやかな苦味が特徴だ。

プライベートブランドのビール系新ジャンルとして、食のプロ(食に関する国家資格を有する者)による品評機関の審査基準を満たし、2020年の「FOOD PROFESSIONAL AWARD」を受賞している。ナショナルブランドではなく、プライベートブランドとしての受賞は誉高い。

カクヤス「K-PRICE グランリッチ糖質70%オフ」

グリーンの優しいボトルデザインは手に取りやすく、糖質や飲みやすさを考慮すると、ダイエット中の人や女性への需要は高いはずだ。糖質オフでありながらパリッとした麦芽感は十分に健在。食事やおつまみと楽しめそう。

リキュール発泡性(1)。アルコール分4〜5%。97円税込み。350ml缶。

西友「クリアリッチ」 食事を邪魔しないすっきりさ

西友ユーザーの間で買いだめ候補に上がる「クリアリッチ」は、すっきりとした後味が人気。サントリービールとの共同開発で、厳選麦芽・100%天然水使用を徹底している。同社の「みなさまのお墨付き」シリーズは、消費者テストで80%以上の支持率を獲得したものだけを商品化するというシステムが特徴のブランド。

西友 「クリアリッチ 」

すっきりとした後味だけでなく、季節的にどこか夏っぽさを感じる爽快な喉ごしは、食事の場に合いそうな印象が強い。十分なビール感はありながらも、苦味があまり強くないので2杯目以降でも飲みやすいというのも嬉しいポイントだ。

「クリアリッチ 」の栄養成分表示

リキュール発泡性(1)。アルコール分5%。98円税込み。350ml缶。

差別化でチャンスが広がるプライベートブランド

現在は、100円弱というだけでなく、100円を下回る安さで販売されているものもある。しかし、10月以降は価格変更が行われ、さらにコロナ禍による内食率の上がり方を考慮すると、より一層「安さ」だけでなく「味」も十分に追求していくことが必須になろう。価格、味、健康訴求など選択の自由度が広がる中で、ナショナルブランドとの差別化、ビールや発泡酒との差別化が激化しそうだ。

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