加工わさび特集
加工わさび特集:業務用=厳しい国内環境 中国勢の進出が顕著に
●輸出は好調推移
業務用(加工用含む)の状況は、全体として国内では厳しく、海外輸出で売上げを伸ばしているといえる。国内は一昨年以降、アニサキスや旬の魚の不漁などで加工わさびを取り巻く環境は厳しい状況が続いている。
加工わさびの各メーカーは、これまで鮮魚から精肉への進出を図るべく「刻みわさび」類を投入し、消費が安定している精肉分野を強化してきた。これは全体として一定以上の市場に成長しているものの、鮮魚類の落ち込みをカバーできない状況が続いている。
ただし、10連休と大型の休みとなった今年のゴールデンウイークは各メーカーが軒並み数字を伸ばし、今後の消費回復への期待感は醸成されつつある。全体として国内については、良くて前年並み、多くは前年を下回って推移している状況といえる。
一方で、好調なのが加工わさびの輸出だ。この分野は近年、着実に市場は拡大し今後もさらなる伸びが期待できる。このため、各メーカーは海外事業の組織体制を強化している。
新たな人材の確保や、事業部の立ち上げ、海外展示会への積極的な出展などで、加工わさびの輸出を手がける各メーカーは数字を伸ばしている。また、生鮮の本わさび輸出も徐々に取り組むメーカーが増え始めている。
まだ分母は小さいながらも日本の生鮮本わさびを求める声は、海外の高級寿司店や高級レストランを中心に着実に広がりを見せつつある。
また、国内の生産農家では茎に比べ需要が少ない芋の扱いに困っている側面もあるため、生鮮本わさびの輸出はこれらの解決策としても有効といえる。生鮮の本わさび輸出は今後も増加が見込まれるが、一方でそれほど大きな市場があるとは思えないとの声もあり、今後注視していく必要がある。
国内業務用市場で、徐々に勢力を伸ばし始めているのが、中国のメーカーだ。中国メーカーはこれまで、加工を主体として行ってきたが、中国における環境規制や各コストの上昇で大手への集約が進んでいる。
これにより、資本力を持った加工メーカーは加工わさびの製品製造を行い、輸出を進めてきた。これまでは日本以外の国で、輸出してきていたと思われるがここ数年、日本への進出が顕著になってきているようだ。
これまでは品質的に日本産加工わさびに比べると劣るといわれてきたが、現在の製品はその品質も向上し今後は脅威となる可能性は否めない。また、その価格がユーザーにとっては魅力的な設定となっているため、長期的には日本メーカーが企業体力勝負を挑まれる可能性もある。
長期的視野に立つと、これら海外メーカー勢に対して日本メーカーがどのように対応するかを検討していかなければならないだろう。
業務用市場は、これまで比較的安定した市場を形成してきた。しかし、国内市場は人口減に加え、消費者の魚類離れや魚の不漁などで減少傾向は否めない。これに中国メーカーが本格的に進出してくるとなると、縮小傾向が続く中で消耗戦を強いられる可能性は否めない。
海外輸出という成長が見込まれる分野はあるものの、日本古来からの香辛料である本わさびを、加工わさびとして今後、どのように発展させていくか、各メーカーにとって正念場となりそうだ。
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