からし特集

からし特集:業務用=外食など鈍いが動き堅調

調味料 特集 2021.10.20 12311号 08面

 からし製品の業務用市場は、納豆向けの小袋など最終製品が家庭用として流通するミニパックなどの分野とレストランや居酒屋など外食店向けの分野で明暗が分かれている。納豆市場は、家庭内食化傾向と納豆の免疫に対する期待などから昨年は過去最高の市場を形成した。このため、納豆に添付されているからしのミニパック需要も増加し生産量を伸ばした。今年に入り、納豆の市場も落ち着きを取り戻しているがそれでも安定した出荷を続けており、納豆向けのミニパックを手掛けるメーカーは堅調に推移している。

 一方でレストランや居酒屋、定食屋向けの製品は外食店舗の営業自粛の影響を受け、厳しい状況が続いている。パン屋向けなどで明るい兆しはあるものの、全体としてはかなり厳しいと言わざるを得ない状況だ。全体としての業務用は、最終製品が家庭用となる分野の押し上げのため、市場の縮小規模はそれほど大きくないと思われる。このような状況下で、新たな製品を開発する動きが強まっている。今後、からしやマスタードの関連製品は家庭用、業務用を問わず徐々に増えていくだろう。マスタードを販売するナイキフーズは今秋に「スイートマスタード」(40g瓶、価格はオープン、参考価格税抜き350円)を発売。ドイツのバイエルン地方で食べられている伝統的な甘いマスタードで、ソーセージや肉料理につけるだけでいつもと少し違った料理を実現できる。

 コロナ禍ながら比較的堅調な市場を形成しているといえるからし製品の業務用市場だが、懸念材料がある。それはからし原料価格の高騰だ。これまでカナダ産を主とする日本向けのからし原料は高止まりながらも安定した価格を形成してきた。しかし、現在はカナダの作付面積が減少傾向にあること、天候不順により収量が予定より少ないと思われることからスポット価格は上昇している。この流れに、海上運賃の高騰や原油高などが加わることで、今後の原料価格動向は不透明さを増している。さらに原油高騰により包材も高騰するなど、原料を取り巻く環境は厳しくなりつつある。今年産のスポット価格の上昇に加え、来年の原料価格も大きく上昇することになれば、日本メーカーの自助努力によるコスト吸収は厳しくなる。今後は粉からしなどから、価格改定に向けた動きが加速していく可能性がある。

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