醤油市場、万能訴求の好機 価格改定影響は軽微

内食需要の高止まりを背景に、醤油が万能訴求の好機を迎えている。家計支出は前年のコロナ特需を超えて推移し、伸びしろを残す密封・鮮度ボトルも含むと需要の伸びは続きそうだ。市場では来年に価格改定が控えるが、特売に頼らない密封系への影響も軽微とみられる。大手各社が注力するメニュー提案の進化も一服した家庭内調理を再び喚起できるか、調味料市場全体の需要継続の試金石となる。=関連記事「醤油特集」(吉岡勇樹)

醤油は嗜好の変化に合わせて年々、塩味が薄くなり、今はおだやかな味わいの生醤油が主流。減塩効果のあるだし醤油も成長著しく、つゆ・たれの加工品に劣らない汎用性を備えてきた。開封後も常温で品質保持する密封系は、堅調な家庭用市場をけん引。本来のおいしさを伴った調理への活用は使用量の増加につながり、成長の可能性が高い。

醤油への家計支出は1~9月で前年比約1%増。一昨年比では9%増で、調味料合計の3%減・6%増を上回る。トップブランドであるキッコーマン食品の「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」も4~9月の上期売上げを伸ばし、続くヤマサ醤油の「鮮度生活」は2桁成長している。

密封系は地方や高齢層に多い既存PETからの需要シフト、若年層からのトライアル購買を得ている。首都圏シェアは5割を超えたものの、全国では3割ほど。新たなユーザー増もあって、まだ、つけ・かけ専用とする向きが多い。主要メーカーは密封系の料理促進を成長余地とみる。

各社の一押しレシピは、調理のハードルが低いマグロなどの漬け込み、炊き込みご飯などが揃う。450ml中心のカテゴリーで600ml以上の大容量品も拡充。押し出しやすい使い勝手のほか、プラスチック量を減らすなどの環境対応も進む。基礎調味料ならではの調理が無限に広がる楽しさ、外食・中食より経済的といった基本価値を認めてもらう試みも強めている。

価格改定は原材料や物流費などのコスト高が要因。来春2~3月出荷分からと発表が始まり、流通段階での仮需発生は必至とみられる。ただし、14年前の値上げ時の1LPETの特売頼みという市場構造は一変。企画販売中心の密封・鮮度系は売価を高め、値上げ幅は5%ほどと半減した。改定前の店頭販促の集中、以後の反落という悪習にはなりにくい。

国内市場は長期縮小傾向にあるが、海外では伸び盛り。1本だけで味付けがほぼ決まる、さまざまな食材に合う万能性が世界で支持されている。キッコーマンの海外の販売構成比は68%に上り、うち醤油の4~9月売上げは18.1%増。輸出量も1~9月で25%増と、醤油が万能という常識は世界化。日本こそ思い出すべきかもしれない。

●醤油特集 https://news.nissyoku.co.jp/special/778055