食の視点 西洋遭東洋FFの日本化(6)和風らしさ
◎時代は変わる
わが家の冷蔵庫には、一年くらい前に購入したチューブ入りのワサビがまだ転がっている。それが、日本食がブームになりつつある中国では、二~三人が刺身を食べるとチューブ一本がなくなるという。マヨネーズに醤油をたらして海苔ご飯を食べる若者も多い。フランス風サシミサラダは、日本人にも外国の人にも大変な人気だ。アボカドのカリフォルニア巻きは、日本のすし屋でも定番になっている。
世界の料理シーンで和食がもてはやされている。いや、“和食らしい”ものが話題を呼んでいるのだと、われわれなどは思ってしまう。そんな和風らしさが逆輸入されて、日本の外食市場に影響を与える。バーガーに限らずテリヤキはその最もはじめのころの、そして最も大きな力を持ったフードの日本上陸だったように思う。
テリヤキがビーフからチキンへ、チキンからフィッシュやポークへと波及していく。米国独特のバーベキューにもテリヤキ風ソースが加えられ、世界的な味となる。テリヤキソースを何にでもかける。そうすれば、エキゾチックな味になる。日本人にとってさえ、テリヤキソースはエキゾチック。よその国の味。
◎よその味、うちの味
和風FFをジャンルとする吉野家の牛丼も、どこか異国情緒が感じられる。牛丼というよりもビーフボウルという呼び名の方がより近い。かの有名なモスのライスバーガー。カタカナ名前。おにぎりにきんぴらを入れたのではないという主張。フレッシュネスのネギミソバーガー。ネギ味噌ラーメンとは違います。
少し和風で、根っこは輸入。日本化されたとはいってもFFSはまだまだ異国のものを脱していない。そこでモスの反撃が始まる。手始めは中卯でうどんや丼物、ちりめん亭でラーメン。そして、ついに朝のおにぎり、昼の弁当、夜のバーガーという三毛作業態の店を開発してしまった。
まだ始まったばかりで、どうこういうような段階ではないのだろうけれど、一時麹町近辺でオープンして話題をさらったコンビニのampmの無人店舗のような轍は踏まないコンセプトを持っている。
注文を受けてから作り始めるコンセプトそのままの絞りたてジュース、既にモスのひとつのコンセプトになりつつあるヘルシーの、有機野菜のサラダを提供する。コンビニとテークアウト店に十分対抗できる繁華街コンセプトとして多店舗化を図るそうだ。
◎違いの分かる
このモスの新型店の名前は、モスフレッシュハウス。モスに迫る勢いで人気と実力を獲得している新興FFSがフレッシュネスバーガー。フレッシュとヘルシー。これが現在の外食全体の命題。KFCの焼き鳥店「一番どり」でも無農薬ネギを採用するという。
デニーズやすかいらーくなどのファミリーレストランでは、はやくから無農薬や有機栽培の野菜、無添加などを素材自身の競争力を高める政策として打ち出している。FFSでも、米国マクドナルド社がライバルに負けない政策として、ケチャップの塩分を減らすなどの決定を下している。
日本のヘルシー志向はまだまだ欧米のそれに比べれば、穏やかなもので、ジャンクフードとしてアンチヘルシーの親玉のように攻撃されているFFSの商品にしても、厳しい選択を受けるには至っていない。しかし、このような状況であるからこそ、FFS各社が日本人なら生まれながらに持つ手作りへの信頼、新鮮さと素朴さの中にある本当の素材の味わいを追求して、この分野でのオピニオンリーダーの役割を果たす姿勢が必要なのではないか。
フレッシュは、素材や調理だけではない。サービスやコンセプトにも求められている。














