企業直営(FC)を拝見 キユーピー「ザ・バーン」ポテト主体、明るく健康をテーマに
キユーピー㈱(東京都渋谷区渋谷、03・3486・3315)の外食部門は、キユーピーグループの全額出資で、㈱ヴェルデで運営されている。同社は、店名ザ・バーンとチキンズの二業態をもっている。今回は、ザ・バーンに焦点をあてることにした。
現在、ザ・バーンは、九店舗展開しており、一番大きな店は、吉祥寺店で一二八席もっている。キユーピー㈱が外食分野に進出するきっかけをつくったのが、昭和45年に東証二部に上場し、一部上場に向けて準備する中で、海外事業部と国内事業部を設置、多角化に本腰を入れることになった。国内事業部の多角化第一弾は、外食分野の進出ということで決まり、ヴェルデという店名でサラダショップをイトーヨーカ堂などの店内に四店出店した。
このサラダショップの発想は、マヨネーズを販売する会社として、野菜を中心にしたメニューが良いということで、サラダショップを展開、しかし、素人集団の悲しさで思ったより苦戦、長続きせず、本腰を入れて、外食に取組まなければということで、昭和49年、現在の㈱ヴェルデを設立、その後、消費者ニーズにあった外食店はどうあるべきか。建築家、デザイナーなど外部の人々を中心にプロジェクトを作る。そこで、いままでは、魚や肉は主役、脇役が主役になるようなメニューはどうかということで、でてきたのがポテトである。
そして、店名をザ・バーン(納屋という意味)とした。第一号店は、新宿に二〇坪前後の店ではじめた。客の対象は、若いOLを対象とし、納屋にふさわしい店内インテリアとした。二号店は渋谷にオープン。企業がドレッシング、マヨネーズでサラダなどを食べてもらうため、健康と明るさを第一イメージとした。このため、昼は、酒類などを置かないでやってみた。夜は、本意ではなかったが、酒類を置いた。当初は、店のイメージも他に見ることのできない内装で、物めずらしさも手伝って人気があった。昭和50年前半の頃で、外食産業も急成長をする時でもあった。
㈱ヴェルデは、サラダバーショップの失敗の経験から、とにかく客作りをしようということも行なった。また、プロジェクトに参加してもらった。建築家あるいは、デザイナーの顔の広さを活用して、有名なタレント、デザイナー、芸術家など、いろいろな人が店に来店してもらうことにも専念した。そのうち、有名人の来る店ということで、女性雑誌もとり上げてくれて、連日、満員という日が続いた。
しかし、昭和58年、居酒屋ブームとなり、いままで来店してくれた若者達は、居酒屋に出入りするようになり、客が減少した。その時点で、外食産業のむずかしさを身体の芯で感じた。外食は割り切っていこうという声も出た。つまり、「マヨネーズでも、仕入れ価格がライバルメーカーと同じか、それ以上であれば、キユーピー製品を使う。ライバルメーカーの方が安ければ、そちらを使う」ということである。
もちろん、そのようなことはなかったが、それほど外食での利益を上げる難しさを知ったということである。
その後、首都圏だけでなく、主要都市に、ザ・バーンをオープンさせていこうということになり、大阪・梅田、名古屋、神戸・三宮と展開していいった。あと、九州、北海道、東北、北陸といったところに、出店していきたいが、なかなか、いい立地条件に恵まれないということもあって、実現していないが、是非、可能にしたいといっている。そして、明るく、健康的な店作りを展開したいとしている。