ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(83)ミミ&ココ 洋風タコ焼きNYでブレーク

2014.01.06 418号 10面
「テリヤキボール」(6個$6)

「テリヤキボール」(6個$6)

「アンガス・プレミアム・ステーキ丼」(13$)

「アンガス・プレミアム・ステーキ丼」(13$)

 ニューヨークの下町に出現したジャパニーズ・ストリートフード、“テリヤキボール”こと洋風タコ焼き。一般のアメリカ人にとって、タコは薄気味悪い、怖い生き物であるが、そのタコの代わりに、なじみのあるエビ、ソーセージ、ポテトを入れたアメリカ版タコ焼きだ。ロウワー・イーストサイドにある固定店のほか、冬季を除き、毎週末開かれる超人気のブルックリンの屋台市、スモーガスボードでも出店して、ニューヨーカーに日本のストリートフードを提供している。(外海君子)

 ●テリヤキボールの考案者は2人の日本人女性

 テリヤキボールの中身は、エビ、カントリー・ソーセージ、オーガニック・ポテトの3種。タコ焼きソースでなく、テリヤキソースに近いオリジナルのソースを使っている。トッピングは、アーモンドのスライス、揚げ玉、マヨネーズ、そして、青海苔の代わりにパセリ。それぞれ2個ずつ、合計6個を6$で販売している。これならタコに抵抗のある人でも食べられる。

 考案者は、2人の日本人女性、関口愛美さんと水野恭子さんだ。ニューヨークで起業するために渡米し、2年前に屋台ビジネスを始めた。今では、スモーガスボードだけでなく、さまざまなイベントにも出店し、土・日はあちこちで2、3ヵ所で屋台を開いている。

 2人の創始者は、路面店を切り盛りし、屋台には人を雇って、超多忙だ。路面店では、テリヤキボールのほかに、正真正銘の日本のタコ焼き(6個8$)や、さまざまな丼物もメニューに加えている。

 ●タコ焼きとは別物だがおいしいテリヤキボール

 アメリカ人にも受け入れやすいテリヤキボールは、同じなのは形状だけで、味はタコ焼きからかけ離れているが、まったく別の物として食べるとおいしい。3種類あるので、異なる味も楽しめる。まん丸の愛らしいテリヤキボールは、その形状にしてもアメリカ人の目に新鮮だろう。しかも、ひと口で食べられる食べやすさ。熱々で、中はフワフワ。なかなかの好評だ

 屋台では主力商品のテリヤキボールがよく売れるが、路面店では丼物がよく売れている。タコ焼きは、そもそもが食事というよりはスナックとして食べるもので、売れる時間が限られてしまう。反対に、屋台では、丼物よりも簡単につまめるフィンガーフードの方が食べやすい。

 ●現地の人に愛される日本のストリートフード

 同店の丼物の主力商品は、「ステーキ丼」(13$)、「カツ丼」(11$)、「カレーライス」(8$)、「ユズコショウ鶏丼(10$)」。サイドのサラダを付けると、プラス1$。アメリカに多いベジタリアンのために、セサミソースをかけた「アボカドとゴボウの丼」(9$)もある。ニューヨークにいながらにして、日本人にとってうれしいホカホカ丼が食べられるが、ミッドタウンやイーストビレッジならまだしも、同店の所在地であるロウワーイーストサイドは、それほど日本人はいない。だから、ローカルの人々に受け入れられることが必須になってくる。同店にいる間に訪れたお客さんたちは、非日本人ばかりで、現地の人々にも愛されていることがよくわかる。

 同店では、テリヤキボールや丼物のほか、ヘルシーな野菜の天ぷらスティックスもあり、蜂蜜味噌、クリーミー・セサミソース、スパイシー・マヨネーズなど9種のディッピング・ソースから選んで、付けて食べる。

 日本のストリートフードのNY版、テリヤキボールが現地の人々にも受け入れられることが判明した今や、同店を切り盛りする2人は、今後は、日本の食べ物をアメリカナイズするのでなく、サンドイッチやハンバーガーなどアメリカの食べ物を日本風にカスタマイズして提供していきたい、と意欲的だ。

 ●人気メニューベスト5

 「テリヤキボール」(6個$6)

 「アンガス・プレミアム・ステーキ丼」(13$)

 「クリスピー・ポークカツ丼」(11$)

 「カレーライス」(8$)

 「ユズコショウ鶏丼」(10$)

 ●事業データ

 ミミ&ココ(Mimi&Coco)/所在地=92 Rivington Street, New York NY 10002/開業日=2012年 10月/営業時間=火~木 正午~午後10時半、金・土 正午~午前2時、日 正午~午後10時半/席数=約20

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