メニュートレンド:迫力のこぼれビジュアル! 小ぶりの器で女性客に人気

2021.01.04 503号 24面
(写真奥)=こぼれ海老のチリソース 890円(税抜き)器は直径10cmほどの小サイズ、(手前)=こぼれホルモン麻婆豆腐 890円(税抜き)ゴロッとしたホルモンの食感とコクが麻婆豆腐に驚くほどマッチ

(写真奥)=こぼれ海老のチリソース 890円(税抜き)器は直径10cmほどの小サイズ、(手前)=こぼれホルモン麻婆豆腐 890円(税抜き)ゴロッとしたホルモンの食感とコクが麻婆豆腐に驚くほどマッチ

「あっさり台北水餃子」(5個390円)、(写真下右)「台北焼棒餃子」(5個290円)。グラスに書かれている文言が楽しい。「真剣割勘」「胃袋鷲掴」「終電何時」なども

「あっさり台北水餃子」(5個390円)、(写真下右)「台北焼棒餃子」(5個290円)。グラスに書かれている文言が楽しい。「真剣割勘」「胃袋鷲掴」「終電何時」なども

同フロアを2つに分け、スタッフ、厨房は同じだが、フロアの右は台湾料理の同店、左はタイ料理「CAFE RAMBUTAN」という2つの異なる業態で営業しているユニークなスタイル。

同フロアを2つに分け、スタッフ、厨房は同じだが、フロアの右は台湾料理の同店、左はタイ料理「CAFE RAMBUTAN」という2つの異なる業態で営業しているユニークなスタイル。

 グラスになみなみ以上に注ぎ、下に置いた皿や升にわざとあふれさせる日本酒の「盛りこぼし」はよく知られているだろう。この手法を中華料理で採用し、SNSで大いに拡散されている店が「台北餃子 次次」だ。大胆にこぼしたビジュアルが迫力満点の「こぼれホルモン麻婆豆腐」「こぼれ海老のチリソース」は、2020年10月のリニューアルオープン直後から大きな話題を呼んでいる名物メニューで、注文客の8割はSNS経由だ。

 器からあふれる麻婆豆腐と海老のチリソースという、インパクト抜群のこのビジュアル。その様相だけを見ると爆盛り系のボリュームメニューかと思いきや、器は小ぶりで、女性でも食べきれるサイズというのが意表をついている。そのため、こうしたメニューには珍しく、女性客の注文が7割を占め、この“こぼれメニュー”だけで1日50食を売り上げる。

 楠元健店長によると、同店の看板料理である台北餃子のほかに、「名物になるキャッチーで映える料理を」と考案。SNSを通じて料理写真を発信したところ、すぐに反響があり、「ほんの2、3日で、『SNSで見た』というお客さんが何人も来店してくださった。SNSの影響力の強さを実感した」という。

 おいしそうな“こぼれビジュアル”になるよう、盛り付けには特に神経を使っており、「あまり汚くならず、程よくこぼれているかという点に気をつけて、盛り付けています。中身がこぼれた器は滑りやすいので、運ぶのも難しい。万が一にもお客さまにこぼしたりしたら、大変ですから。神経を使うメニューですよ」と、楠元店長は苦笑する。

 ビジュアルだけでなく、中身もアレンジを利かせている。メニュー名の通り、麻婆豆腐にはホルモン(牛の小腸)を加えており、「ホルモンの弾力ある食感がよいアクセントになり、コクも出ます」(楠元店長)。海老のチリソースはふわふわの卵入りで、素揚げのエビが顔をのぞかせているのも独創的だ。「メニューを試作した際、通常のエビチリでは粘度が足りず、こぼれ過ぎてしまった。卵を加えることで盛り付けも安定し、味わいも優しくなった」という。

 お客によっては「こぼれている意味がない」という声が上がることもあるそうだが、それでもちょっとした驚きと、思わずくすっと笑ってしまう愛嬌があり、名物メニューとなり得る魅力を備えている。

 ●店舗情報

 「台北餃子 次次」

 所在地=東京都新宿区新宿3-26-13 新宿中村屋ビル7階/開業=2020年10月/坪数・席数=29坪・45席/営業時間=11時~15時30分、17時30分~23時30分/平均客単価=昼1000円、夜2700円/1日平均集客数=120~130人

 ●愛用資材・食材

 「大同醤油膏(台湾とろみ醤油)」 輸入者=友盛貿易(横浜市中区)

 少量使うだけで台湾の風味

 とろみと甘味がある台湾の万能調味料。同店では料理に活用するほか、テーブル上にも常備している。「甘味と深みがある醤油で、独特の台湾の味わいになる。それでいてクセがないので、さまざまな料理に合う。日本の醤油のようにお客さんのお好みで使って味変を楽しんでほしい」と、楠元店長。

 規格=420g

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