「色どり野菜のカレーポテトクリーム」（左上）、「かぶと鶏肉のゴルゴンゾーラポテトクリーム」（右上）、「ナスと挽肉のトマトポテトクリーム」（手前）各550円（税込み）

店舗は、東急東横線・自由が丘駅から徒歩約5分の裏通りにある

　インターネットで「ポテトクリーム」で検索すると、ヒット件数は約775万件。レシピ検索すると、「クックパッド」だけでも約2400件にものぼる。この大ブレークを引き起こしたのが、自由が丘にある「ポテトクリーム」という店。一般消費者を巻き込んで、今や数えきれないほどの「ポテトクリーム」レシピが誕生しているが、その発祥店であり、元祖「ポテトクリーム」を生み出したのが同店だ。

　●テレビ・雑誌・レシピサイトで話題沸騰！　大ヒットメニューの誕生

　「ポテトクリーム」という商品をひと言で説明するなら、クリーミーなマッシュポテトにさまざまな具材が入ったソースがかかったもの。マッシュポテトといえば、ステーキやハンバーグなどの付け合わせとして添えられる脇役。単品で主役を張ることは、まずない。脇役に甘んじてきたマッシュポテトを主役に抜擢し、さらにソースにバリエーションを付けて展開し、「ポテトクリーム」一つで勝負している点が、メニューとしても、外食店としてもスゴイところだ。

　「ポテトサラダ好きの人って、意外と多いんですよね。ポテサラ専門店があってもいいんじゃないかなと思ったんです」と上野友和店主は、着想のきっかけを明かす。しかし、普通のポテトサラダを売る店だと、ただの惣菜屋になる。上野店主が描く新感覚のポテサラのイメージは「若い女性がアイスクリームを食べるようなおしゃれなもの」にあった。

　「好まれる食べ物のトレンドは、トロトロ系にある」と上野店主は分析する。確かにプリン、パンケーキ、チーズケーキなどのスイーツは、ゆるめのトロトロ系が人気だ。オムライスもゆるゆるの卵焼きで包み、中身がとろ～りと、とろけ出すものが好まれている。

　そのトレンドを読んで、「ポテトクリーム」のマッシュポテトは、通常よりも滑らか＆クリーミーに仕上がっている。ジャガイモは北海道産のキタアカリを使用。毎朝、約35kgのキタアカリをふかしてマッシュし、バターと牛乳を混ぜてトロトロ感を調整する。ゆでずにふかすのは「その方が甘味が増す」から。また、ジャガイモはビタミンCの含有量がリンゴの約5倍もあり、「大地のリンゴ」とも呼ばれているが、ふかせばビタミンCがゆで汁に溶け出すこともない。

　このマッシュポテトをアイスクリームのようにディッシャーでカップに盛り、自家製のソースをかける。それをスプーンですくって食べる……まさにデザート感覚のポテサラだ。注文を受けてから提供までの時間は2～3分。

　ソースは5種類あり、「ナスと挽肉のトマトポテトクリーム」（ナス、トマト、ホウレンソウ、シメジ、アスパラ、ひき肉、生クリーム、バジル、パルメザンチーズ入り）、「かぶと鶏肉のゴルゴンゾーラポテトクリーム」（カブ、エリンギ、枝豆、ゴルゴンゾーラ、鶏肉、ディル入り）の2種類は常設。他の3種類は旬の野菜を取り入れたソースが、その都度入れ替わる。

　マッシュポテトは冷蔵ではなく「保温」されているので、温かいマッシュポテトの上に、温かいソースがかかっている。この「温かい」というのも「ポテトクリーム」の魅力であり、従来のポテトサラダとは決定的に違う点だ。

　店頭には「新感覚のポテトサラダ専門店」という看板が出ているが、食材の組み合わせ、見た目、食べ方、そしてこの「温かい」という点も含め、「ポテトクリーム」は、ポテサラの枠を飛び越えた新しいメニューの誕生といっていいだろう。

　●店舗情報

　「ポテトクリーム」　所在地=東京都目黒区自由が丘1-25-2 セイントハウスA棟1F/開業=2013年12月/営業時間=平日　午前11時30分～午後8時　土・日・祝　正午～午後8時　水曜定休/坪数・席数=9坪・8席（立ち席）/1日平均客数=平日100～150人　土・日・祝約200人/平均客単価=700～800円

　●愛用資材・食材

　「YSパルメザンパウダー」　ヨシダコーポレーション（愛知県愛西市）

　厳選したパルメザンを粉末に加工。シャープでコクのある風味はパスタやグラタンはもちろん、製菓や製パンなどあらゆる料理を引き立てる。「ナスと挽肉のトマトポテトクリーム」と「色どり野菜のカレーポテトクリーム」に使用。「ナスと～」のボロネーゼ風のソースとの相性は抜群。「色どり～」のカレー味にまろやかさとコクをプラスしている。

　規格=1kg×10