メニュートレンド:炭火でいぶす“吊るしチャーシュー” 立ち飲みで一流の味を気軽に
この3月に大阪・大正区にオープンした「地酒蔵大阪・大正店」は、“吊るしチャーシュー”が看板の立ち飲み店。うまい豚肉と地酒を手頃に楽しめると、開店早々から多くの客が詰めかける人気ぶりである。新しい提供方法で客のハートをガッチリつかむ、同店を取材した。
●料理は300円台中心、地酒は150円~
「地酒蔵大阪・大正店」を運営するエムエーツーユニオンは、ブランド豚の長崎芳寿豚をメーン食材に飲食店を展開。4店舗目となる同店は、同社では初の立ち飲み店である。新業態へのチャレンジで打ち出したのが、同豚で作るチャーシューに特化した店づくり。系列店で人気のメニューに、炭火効果をプラスし、新たなうまさを開発している。
看板の“吊るしチャーシュー”は、中華街での販売スタイルにヒントを得て、見せ方や味を考案。店頭には炭台を配置し、その上部に、4日間漬け込み、オーブンでじっくりと焼いたチャーシューを吊るす。立ち上る煙で薫製状になり、香り付けとともに肉が熟成されて、うま味が増す仕掛けである。
チャーシューには、肩ロースと上ばら、肩うで肉の3種類を用意。中でも、ほとんどの客がオーダーする人気メニューが、「肩ロース厚焼きステーキ」680円と「上バラサイコロ焼き」580円。注文分をブロックからカットし、さらに炭火であぶるひと手間を加えることで、より香ばしく食べ応えある一品となる。
そのほか、レアでも食べられる食材の特徴を生かした、「名物 長崎芳寿豚のタタキ」380円や、地場野菜を使用したあっさりした味も用意。料理の中心価格帯は300円台で、「しじみ汁」10円という驚きのサービスメニューもある。
地酒は、常時約30種類を用意し、メニューでは18種類を紹介。90ccでの価格は、「日替り地酒」150円から350円と、こちらもリーズナブル。さらに、「1杯目はビールで」という客のために、サントリーが新発売した「ザ・プレミアム・モルツ~マスターズドリーム」の生を、グラス500円で提供。立ち飲みで提供しているのは全国で同店だけとかで、高級ビールの味を手軽に楽しめるのも魅力だ。
「立ち飲みでも、提供するのは、こだわって選択した一流の食材です。“気軽にうまく”をテーマに、お酒と料理の融合を楽しんでもらいたい。回転率が高い立ち飲みスタイルだからこそ可能な価格設定です」と、同社代表の町田透さん。開店以来、目標の集客数を達成しており、半数を占める女性客からも好評という。
今後の展開では、すぐそばに、客単価2000円ほどのより大衆的な立ち飲み店を開店する予定で、2店舗での相乗効果も狙う。将来的には、全国でのライセンス販売も視野に、活動を広げたい考えである。
●店舗情報
「地酒蔵大阪・大正店」 経営=エムエーツーユニオン/店舗所在地=大阪府大阪市大正区三軒家西1-6-6/開業=2015年3月/営業時間=午後5時~翌午前0時。無休/坪数・席数=約7.5坪・最大25人/1日平均客数=約50人/平均客単価=2400円
●愛用資材・食材
「料理用 東肥赤酒」 瑞鷹(熊本県熊本市)
上品な甘味を出す
看板商品のチャーシューの仕込みで、下味のベースになるのが、「料理用 東肥赤酒」。やさしい甘さが持ち味の料理酒で、同店では、同商品と薩摩醤油、水あめなどで作る調味液に肉を漬け込んでいる。同商品は入れ過ぎると苦くなるため調合が難しいが、これにしか出せない上品な甘さに仕上がるのが魅力である。
規格=1.8L