寒天特集
伝統と機能性、先進性を併せ持つ寒天。特有の豊富な食物繊維を手軽にプラスできる即食タイプのカット寒天系製品の定着や、物性開発で進む多様なニーズへのアイテム充実、食品以外にも及ぶ需要フィールドの開拓などで、新しい価値の創出が進んでいる。業界トップ・伊那食品工業が手掛ける寒天由来の「可食性フィルム」は、食品の包装資材、飲食用消耗品などで進む「脱プラスチック」を追い風に、あらためて注目度がアップ。寒天の可能性は、さらに広がりを見せている。
一方で、最大のネックは原料の海藻、原藻の価格。支えのモロッコ産テングサが今年に入って落ち着きを見せ始めるなど好転の兆しもあるが、もう一方の柱である韓国産は高騰が加速。輸入テングサ、国産天草ともに高止まりが続き、業界への圧迫を強めている。
地場産業として長野県茅野市、岐阜県恵那市山岡町などに根付いている角(棒)寒天、細(糸)寒天の製造現場では、人手不足や後継者問題も深刻化。自然の寒気に頼った冬季製造期の暖冬傾向も拍車がかかる中、産業維持に向けた基盤整備が喫緊の課題として立ちふさがっている。(長野支局長=西澤貴寛)
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◆寒天特集:広がる寒天の可能性 新規ニーズ開拓進むも原料高がネック
水産加工 2019.07.17伝統と機能性、先進性を併せ持つ寒天。特有の豊富な食物繊維を手軽にプラスできる即食タイプのカット寒天系製品の定着や、物性開発で進む多様なニーズへのアイテム充実、食品以外にも及ぶ需要フィールドの開拓などで、新しい価値の創出が進んでいる。業界トップ・伊那食品…続きを読む
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寒天特集:寒天輸出入 18年輸入量は2.1%増、輸出拡大目指す動きも
水産加工 2019.07.1718年の寒天輸入量は1914tで、前年を2.1%上回った。05年の「寒天ブーム」で2629tに急伸した06年以降、1500t前後で推移してきたが、ここ5年ほどは1800~1900t台に、再び増えつつある。 国別でみると、チリが797t(前年比12.…続きを読む
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寒天特集:カット寒天、市場定着へ 「手軽な食物繊維補給」の新価値提案
水産加工 2019.07.17●輸入原藻価格は8年間で2.4倍に高騰 テングサやオゴノリなどの紅藻類から抽出した粘質液を凍結乾燥させた寒天は、成分の約80%が食物繊維で、カロリーはほぼゼロ。こうした機能性を多彩なメニュー、料理へ手軽に付加できるカット寒天タイプのアイテムが、市場に定…続きを読む
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寒天特集:原料動向 原藻輸入量、19年上期は20%超える増加
水産加工 2019.07.17財務省貿易統計によると、18年の寒天用原藻(紅藻類テングサ科)輸入量は1627tで、前年比0.2%減とほほ横ばいだった。10kg当たりの平均価格も7208円で前年より36円、0.5%下がり、おおむね同水準で推移した。 一方、今年19年1~5月の輸入…続きを読む
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寒天特集:森田商店・森田庄次社長に聞く 天草概況、国産高値は当分続く
水産加工 2019.07.17【中部】寒天の製造、テングサ・海藻の加工販売とその付帯事業を行う森田商店の森田庄次社長は、2018年の全国のテングサ生産数量が入札数量と入札外数量合わせて推定411t(前年比12.8%減)となったことを踏まえ、「これはここ5年間平均518tを大幅に下…続きを読む
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寒天特集:伊那食品工業 “脱プラごみ”で注目、「可食性フィルム」のニーズ拡大
水産加工 2019.07.17研究開発型企業として、新たな市場を切り開いてきたトップメーカー、伊那食品工業。2月に就任した塚越英弘社長は、「まだまだ寒天の可能性は大きい。『遠くをはかる』中長期的な視野で、価値を創出していきたい」と語る。 注目が高まっているのが、寒天由来の「可食…続きを読む