寒天特集

水産加工 2019.11.21
寒天特集

 伝統と機能性、先進性を併せ持つ寒天。特有の豊富な食物繊維を手軽にプラスできる即食タイプのカット寒天系製品の定着や、物性開発で進む多様なニーズへのアイテム充実、食品以外にも及ぶ需要フィールドの開拓などで、新しい価値の創出が進んでいる。業界トップ・伊那食品工業が手掛ける寒天由来の「可食性フィルム」は、食品の包装資材、飲食用消耗品などで進む「脱プラスチック」を追い風に、あらためて注目度がアップ。寒天の可能性は、さらに広がりを見せている。
 一方で、最大のネックは原料の海藻、原藻の価格。支えのモロッコ産テングサが今年に入って落ち着きを見せ始めるなど好転の兆しもあるが、もう一方の柱である韓国産は高騰が加速。輸入テングサ、国産天草ともに高止まりが続き、業界への圧迫を強めている。
 地場産業として長野県茅野市、岐阜県恵那市山岡町などに根付いている角(棒)寒天、細(糸)寒天の製造現場では、人手不足や後継者問題も深刻化。自然の寒気に頼った冬季製造期の暖冬傾向も拍車がかかる中、産業維持に向けた基盤整備が喫緊の課題として立ちふさがっている。(長野支局長=西澤貴寛)