北海道ラーメン特集

外食 2020.04.27
北海道ラーメン特集

 ●応援企画、販促などで需要喚起
 新型コロナウイルス感染拡大による影響が飲食業界を直撃している。一斉休校や在宅勤務導入など人々の外出控えが続く中、外食需要は一気に低迷。道内に2000軒あるとされるラーメン店の多くも客数、売上げ減にあえいでいる。
 「道が緊急事態宣言を発出した直後(2月下旬~3月上旬)は、売上げが9割減まで落ち込んだ」(札幌中心部に構えるラーメン店)、「ラーメン横丁や空港内の店舗など、インバウンド需要のウエートが高い店が大苦戦」(地場ラーメンチェーン)など悲鳴が上がった。営業時間の短縮や臨時休業する店舗も出て、コロナショックに翻弄(ほんろう)されている。
 全国の百貨店などで開催される北海道物産展の相次ぐ中止も大きな痛手。春と秋を中心に行われる物産展は、道内のラーメン店にとって全国にブランドを売り込み、販売拡大につなげる絶好のチャンス。新型コロナ感染が拡大してきた2月以降は、そうした販売の機会も失った。毎年、数ヵ所の物産展に出展していたあるラーメン店では、札幌商工会議所のホームページ「新型コロナ経済対策掲示板『緊急在庫処分SOS!』」への掲載やネット販売強化などで、見込み製造していた商品の販売に追われた。
 3月に2週間休業していたテーマパーク・あさひかわラーメン村では営業を再開した3月20日~4月6日まで、各店で小学生以下を対象に1杯を無料とするちびっ子ラーメンを提供。弟子屈ラーメンを展開するエフビーエスは道内3店で3月12日から1ヵ月間、高校生以下の子ども対象にラーメン3種を各500円で提供するなど、新型コロナ感染拡大に対応した応援企画や家族連れ集客を狙った販促などで需要喚起に知恵を絞る。また、新たにデリバリー分野への参入を目指す店やインバウンドの急激な落ち込みを受け、地域密着戦略に一段と力を入れる店も増えてきた。未曾有の逆風が続く中、各店は新型コロナ終息後の市場もにらみながら粛々と営業を続けている。「お客さんが減って空いた時間を、接客や調理などの従業員教育に充てている」「コロナ感染の事態が落ち着いた段階で新店を開業する」など、反転攻勢をかけるシナリオとタイミングをにらむ。
 「一刻も早い感染拡大の終息と日常の回復を」と、各店主の願いはただ一つ。麺類王国・北海道を支えるラーメン業界が活気を取り戻し、力強く復権することを祈るばかりだ。(長島秀雄)