11月22日。今日は長野県りんごの日
11月22日は全国農業協同組合連合会長野県本部が制定した長野県りんごの日。日付は長野県産りんごの代表的な銘柄「ふじ」の語呂合わせに由来する。また、この時期は「ふじ」の最盛期である。
多様な日本のリンゴ
わが国のリンゴは生食として栽培されているが、その品質は多く、収穫期も早生種の出回る八月から十一月にわたっている。また、品種によって果皮、果肉にそれぞれ特徴があり、香り、甘味、酸味も異なっている。果汁用としては品種によって適、不適はあるが、生食として不適格なものあるいは余剰的なものが供給されているのが実情である。ここでは 果汁に利用されている主な品種の概要は次のとおり。
「デリシャス系」
主としてスターキングである。 いまから六十年前、アメリカのニュージャジー州から導入されたといわれており、ふじに次ぐ生産量となっている。香りがよく果肉は黄白色で生食用としてすぐれているが、貯蔵性に乏しく、病害などにおかされやすい。加工用としては、果汁分は多いが、褐変しやすく、加工適期が短い等の欠点がある。
「ふじ」
国光とデリシャスのかけあわせによる品種で、現在、生産量が最も多い。収穫量が比較的多く、果肉は黄白色で硬く、煮くずれしないので、缶詰(プレザーブ)に適し、加工用としての主要な品種である。果汁としては果汁分が多いが、褐変が強いので透明果汁に適しているといわれている。また、貯蔵性にすぐれているので、長期にわたる加工も可能で、果汁向けに最も多く消費されている。
「紅玉」
明治年代のはじめにアメリカのニューヨーク州から導入され最も古い品種である。「千成」といわれるほど収穫量が多い。味も甘酸さが適度で、果肉は黄白色で、香りもよく、果汁も多く、褐変も少ないため、果汁用として適しているといわれている。しかし、病害にかかりやすいことや貯蔵性に劣るため、生産量は減少し、加工業者にとって希少価値の品種となっている。
「国光」
これも明治年代、アメリカから導入された品種とされており、栽培が容易で多収穫型である。肉質、色、香りは紅玉より劣る。加工用として果汁分が多く、煮くずれしないこと、貯蔵性がよいことなど、果汁、プレザーブ等の缶詰に適しており、標準的加工適性品種とされている。しかし、光沢がないなど生食としての商品性にやや欠点があるためか、「ふじ」の出現で、最近年、生産量が著しく 減少している。
「つがる」
早生種で最近年、青森、長野などの主産県で栽培に力をいれており、生産量はデリシャスに次ぐ生産量となっている。生食用の早生種として人気があり、果汁分は多いが、香りが弱く、酸も低い、また貯蔵性に劣るため加工適性としては不向きとされている。
その他の主な品種として「陸奥」「ゴールデンデリシャス」「王林」等がある。
「陸奥」
ゴールデンデリシャスと印度リンゴとをかけあわせたもので、栽培が容易で、貯蔵性にすぐれている。果肉は黄白色で香り、風味がよく果汁に適している。
「ゴールデンデリシャス」
果皮の色が黄白色で代表的な品種である。風味、香りがよく、果汁分も多く果汁用に適しているが貯蔵性がよくない。
「王林」
ゴールデンデリシャスと印度リンゴをかけあわせたもので、果皮が緑色のリンゴであるが、 風味や貯蔵性がよいので果汁用に適している。
(日本食糧新聞社『果実飲料入門』星 晴夫)