12月1日。今日はポルトガルの独立回復記念日
1640年、カタルーニャの反乱をきっかけとしたポルトガル王政復古戦争が起こり、ポルトガルがスペインから独立した。12月1日はそれを記念した日である。 また、12月1日はカレー南蛮の日やワッフルの日でもある。
砂糖や卵の使用は南蛮の食文化として伝わった
1543年ポルトガル人が種子島へ漂着してから、日本人とヨーロッパ人との本格的な交渉が始まった。大航海時代を経たスペイン人やポルトガル人たちはさ かんにアジアへ進出しており、日本との接触もその一環である。
彼らはマカオやルソンなど南方の根拠地を経由して来日するので、南蛮人とよばれていた。 ちなみに後れて登場したイギリス人やオランダ人は紅毛人とよ ばれ、区別されている。南蛮人は、鉄砲に代表されるようにさまざまな影響を日本に与えている。菓子の世界でいえば、(1)砂糖の大量使用と、(2)卵の使用である。
古代以来砂糖はごく少量が輸入されていたが、多くは甘味料としてではなく薬品として使用されていた。古代~中世の代表的な甘味料はツタを原材料とした甘葛煎であった。
そうしたなか、南蛮貿易の重要な商品のひとつとして砂糖が日本へ輸入され、菓子に大量に使用される端緒となった。
また、日本人は宗教的な禁忌から鶏卵を食べなかったが、南蛮人たちは料理や菓子に鶏卵を多く使っている。それが日本の菓子の世界に入り、植物性の原 材料を使うことを基本とする和菓子に唯一例外として鶏卵が使用されるようになった。
ポルトガル伝来の菓子は南蛮菓子として珍重され、カステラ・ボーロ・鶏卵素麺・金平糖・有平糖などの菓子が「和菓子」の一分野として現在に伝わっている。また、1600年代の菓子屋の記録には「けさちいな」 「はるていす」など現在は幻となってしまった菓子の販売記録も残されている。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:全国和菓子協会 藪 光生 ))