地方発 食品業界の挑戦~地域を活性化する注目の企業~(5)地域食品産業貢献賞紹介

地域食品産業貢献賞紹介

地域に根ざした食品企業の取り組みを顕彰する「第13回地域食品産業貢献賞」の受賞企業12社が決定しました。食文化の継承、地産地消、技術革新など貢献している企業や団体など日本食糧新聞社が選定、地方から日本の“食”を支える企業を称えます。

ベル食品株式会社(北海道札幌市)

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受賞理由(貢献内容)

会社・取り組み紹介

 ベル食品は、北海道の郷土料理を家庭で手軽に楽しめる調味料を数多く生み出し、食文化の普及に貢献してきた。1947年に北海道大学農学部出身の7人が札幌で創業した北共化学が前身。初期のヒット商品は「ベル・ラムネ」。54年に日本初の市販用ラーメンスープ「華味」を発売。56年に初の市販用焼肉たれ「成吉思汗たれ」を投入。ラーメンスープ、ジンギスカンたれ、スープカレーの素など北海道の味を商品化してきた。2021年には清涼飲料やデザート類など新ジャンルにも進出。ベル食品は「北海道のソウルフードメイカーとして生産者と家庭をつなぐ」を掲げ、創業時の志を受け継ぎ、北海道の豊かな食文化の創造に取り組み続けている。

上北農産加工株式会社(青森県十和田市)

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受賞理由(貢献内容)

会社・取り組み紹介

 上北農産加工のロングセラー「スタミナ源たれ」は発売60周年を迎えた。青森県産のリンゴやニンニク、ショウガなどをふんだんに使い、焼き肉はもちろん炒め物や冷や奴など多用途で親しまれる万能調味料。県内では焼き肉のたれ市場で約7割のシェアを占め、現在は全国に展開している。前身は1951年設立の農協で、2017年に株式会社化。青森の農業や地域経済に根ざした経営を続け、近年は酒かすを活用した「赤酢」や新商品の開発などSDGsにも積極的に注力している。ご当地ブームもけん引している。

株式会社栗山米菓(新潟県新潟市)

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受賞理由(貢献内容)

会社・取り組み紹介

 新潟県の米菓メーカー「栗山米菓」は、創業以来「たのしい、おいしい、あたらしい」を理念に掲げ、伝統的なせんべいにとらわれない斬新な商品開発を進めている。代表作「ばかうけ」「星たべよ」は全国的にヒットし、全国70%の市場シェアを誇る。地域活性化にも力を入れ、2002年には体験型施設「新潟せんべい王国」を設立し、観光と米菓文化の普及に貢献。近年は人気キャラクターとのコラボレーションも積極的に展開し、若年層の取り込みを図っている。24年には30歳の栗山大河新社長が就任し、新たな挑戦を進めている。

フタバ食品株式会社(栃木県宇都宮市)

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受賞理由(貢献内容)

会社・取り組み紹介

 1945年創業のフタバ食品は、栃木食糧品工業として製粉業からスタートし、1951年にアイスクリーム製造へ事業を拡大。その後、中華まんじゅうやギョーザなど多様な食品も手掛けるようになり、2025年に80周年を迎えた。過去の台風被災時には地域支援を実施し、企業理念に社会貢献を掲げる。23年度は売上231億円超と成長を続け、27年の新工場稼働を目指す。地域貢献ではJ2栃木SCと協力し子どもの健康促進や食育に注力。さらに、環境保全活動やCO2削減にも積極的に取り組み、持続可能な経営を推進している。

みたけ食品工業株式会社(埼玉県戸田市)

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会社・取り組み紹介

 みたけ食品工業は、米粉や上新粉、きな粉、麦茶など多彩な乾物製品を展開し、全国で高いシェアを持つ。武内秀行会長は日本米粉協会副会長を務め、新規米粉の開発や健康志向商品の投入に積極的だ。地元産大麦を活用した商品を埼玉大学や自治体と共同開発し、中小企業庁の認定を受ける。埼玉県春日部市の地域ブランド創出や東京国際大学との産学連携による新商品開発も推進。さらに武蔵野銀行と連携し、農業と製造業の融合による地域活性化を目指し、玄米粉クッキーの製品化など多方面にわたる。

梅辰株式会社(静岡県静岡市)

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会社・取り組み紹介

 梅辰は、1977年に創業、「他にない看板商品」を追求し83年に山本食品工業と共同開発した「元祖梅にんにく」で注目された。焼津産かつお節、和歌山県産南高梅、中国・河北省産の小粒ニンニクを用いた同品は、販売初期は苦戦したが、今では全国区の人気商品になり、漬物市場に新たなカテゴリーを築いた。地元企業とのコラボや、オリジナルキャラクター「梅辰ジャー」によるPR活動も展開し、地域に根ざした販促を強化。イベントや学校行事への参加など、地域密着型の取り組みを通じてブランドの認知度を高めている。

株式会社マルマツ(静岡県浜松市)

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会社・取り組み紹介

 マルマツは、浜松市内最大級の製造量を誇るギョウザメーカーとして、地元に根ざしながら全国展開を進めてきた。地産地消を重視し、JAとの連携による商品開発や、浜松餃子の知名度向上に大きく貢献。1970年代のオイルショックを機に開発された独自の薄皮技術が、コスト削減と品質向上の両立を実現し、他社にはない強みとなっている。冷凍食品市場の拡大を追い風に、冷凍ギョウザの販路を全国へ広げ、競合大手と肩を並べる存在に成長。主力のチルドギョウザ「包みギョウザ」は野菜を多く使った飽きのこない味で幅広い層に支持されている。

三共食品株式会社(愛知県豊橋市)

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 三共食品は、調味料の原料供給から外食・中食向けの加工食品製造までを一貫して担う強みを持つ食品メーカー。約350種におよぶ調味料原料を展開する「調味料事業」と、それらを活用したレトルト食品やソース類などを手掛ける「外食事業」が事業の両輪。特に外食事業は、現社長・中村俊之氏の着任後に本格始動し、市場のニーズに応える提案型の営業体制を築いたことが成長の鍵となった。加えて、働きやすい職場環境の整備や社内の風通し改善など、組織力強化にも注力。食育や海岸清掃、地元FM局やアスリート支援など多角的に地域と関わりを深めている。

ぼんち株式会社(大阪府大阪市)

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 1931年創業の米菓メーカー「ぼんち」は、「ぼんち揚」や「ピーナツあげ」などのロングセラーで知られ、神戸・埼玉・山形の工場で米にこだわった製品づくりを展開している。「一粒主義」を掲げ、営業から製造までが一体となった体制で品質を追求。日清食品グループに加わった現在は、販路共有や商品開発の面でグループ各社との連携を強化している。「ぼんち揚」はだしのきいた優しい味わいと軽やかな食感で関西発のソウルスナックとして定着し、今年で発売65周年。大阪・関西万博と連動した新たなプロモーションにも力を入れている。

日本酪農協同株式会社(大阪府和泉市)

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 日本酪農協同は、創業から75年以上にわたり、牛乳を通じた健康づくりを使命に掲げてきた。特に給食向けの「毎日牛乳」は、1日47万人の児童に提供され、成長期の栄養を支える社会的インフラとしての役割を果たしている。食育活動やスポーツ支援にも積極的に取り組む。近年は、栄養強化型の「毎日強骨ミルク」や「毎日からだにCa鉄」など、機能性を高めた製品を展開。北海道産原料を使った「至福のギリシャ」ヨーグルトも好評だ。ロゴに込められた「朝の太陽」と「毎日」の文字には、牛乳を日々の習慣にしてほしいという思いが込められている。

株式会社上万糧食製粉所(広島県広島市)

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会社・取り組み紹介

 上万糧食製粉所は1928年に広島市で創業し、1947年に有限会社、61年に株式会社へ組織変更。2006年に新工場を竣工し本社機能を移転した。穀粉製造・販売を中心に、上用粉、もち粉、きな粉、青きな粉、玄米粉など多様な製品を展開。看板商品「青きな粉」は広島の「ザ・広島ブランド」に認定されている。19年にはグルテンフリーのコメ由来パン粉「WA-PANKO」を開発し、海外20カ国以上に販路を拡大。安全管理体制を強化し、ハラル認証やFSSC22000も取得。子ども向けのスポーツ支援活動も展開し、地域貢献に積極的だ。

霧島酒造株式会社(宮崎県都城市)

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受賞理由(貢献内容)

会社・取り組み紹介

 1916年創業の霧島酒造は、「黒霧島」「赤霧島」で知られる本格焼酎メーカー。工場は全て都城市にあり、九州産さつまいもや都城盆地の地下水「霧島裂罅水」、国産米を使った高品質な焼酎づくりにこだわっている。2000年代初頭の黒霧島のヒット以降、焼酎メーカー売上トップを継続若年層向けの商品や飲み方提案にも注力するほか、23年には苗生産拠点「イモテラス」を設立し、基腐病に悩む農家を支援。このほか焼酎かすや芋くずをバイオガス化し「サツマイモ発電」として再利用するなど、地域の資源循環にも力を注ぐ。