注目!ココが光る技あり店(6)FC加盟店舗編 「らあめん花月嵐」北浦和駅前店

2003.02.03 265号 7面

一時のブームも去って成熟しきったかにみえるラーメン業界。多くのラーメンFCがしのぎを削る中、孤軍奮闘する新規加盟店もある。ニンニクげんこつラーメン花月をFC展開する(株)グロービートジャパンが、昨年9月から導入した新業態「らあめん花月嵐」。今回の菅野オーナーが脱サラしてその新業態に挑戦した、二〇〇二年12月開店の北浦和駅前店は、開店初日から行列ができ、客数四〇〇人/日、日商三〇万円以上をたたき出す。

■FC加盟と独立の動機

ラーメンFC「らあめん花月嵐」北浦和駅前店のオーナー兼店長の菅野均氏は四九歳。菅野氏は、平成14年5月まで、食品メーカーの営業として、大小のスーパーマーケットの商品部巡りを三〇年以上も続け、常務取締役東京支店支店長まで昇進した。しかし、物足りずに、一国一城の主を目指すようになった。

そのような菅野氏は、以前からニンニクげんこつラーメン花月を客として好んで訪れており、結局三食飽きないその味にほれ、この店をFC展開するグロービートジャパンへのFC加盟を決意した。

「いろいろ比較したけど、一番好きなこのラーメンを商売にできることはありがたいこと」と菅野氏は語る。

二〇〇二年5月に菅野氏は前職を退職。約半年間の準備期間の後、12月にグロービートジャパンの新業態「らあめん花月嵐」にFC加盟し出店を果たす。「既存業態よりメニューが豊富で、より幅の広いお客に支持されると思い、らあめん花月嵐を選びました」と、菅野氏は新業態での展開に意欲的だ。

■店舗の運営手法について

グロービートジャパンが、これまでのニンニクげんこつラーメン花月に加えて、らあめん花月嵐をFC展開したのは二〇〇二年9月。既存のラーメン花月を改装して始めた。

ラーメンは「とんこつ」「醤油」「つけそば」の三種類が四九〇円で、主力の花月より約一〇〇円切り下げた。ギョーザやコロッケなどサイドメニューをそろえ、ドリンクはラーメン店としては豊富な一五種類。サイドメニューの注文を増やして客単価向上を狙っている。

この北浦和店も12月20日の開店以来、店外まで行列が続く毎日だ。

「私は包丁も握ったことないのに、開店初日から多くのお客に来ていただいて、FCシステムというのはすごいと思いました」

菅野氏はこのように素直な感想を述べているが、実は加盟当初は不安で夜も眠れなかったという。

「客として毎日のように食していたニンニクげんこつラーメンだが、果たして自分にも同じ味が出せるだろうか」

菅野氏は不安であった。しかし、本部研修にて作った試作品をおそるおそる口に入れたとき、食べ慣れた味がそこにはあった。

「ああ、自分でもできる」と、菅野氏の不安はこのとき確信に変わった。

今では、一三坪一九席の小さな店舗に客は長い行列を作り、その列が途切れないことが三時間を超えたこともあったという。当然店内は戦争状態。開店から一ヵ月強の北浦和店だが、その混雑対応のため、客の横から提供する本部推奨のオペレーションを、カウンター越しに手渡すオペレーションへとの変更も検討中だ。

■他のFCとはココが違う

脱サラしてのFC加盟。一見すると典型的なオーナーのように見えるが、話を聞いてみると、なるほど行列をつくる店のオーナーとしての光る技が見えてくる。

開店以来好調の要因の一つは、「自分がラーメンについて全くのゼロからの出発だった」という菅野氏の分析。ラーメンといえば言わずと知れた職人気質の高い商売であるが、らあめん花月嵐はFCチェーン。本部が多店舗ローコスト展開に適した形態で加盟希望者を迎えている。

レードル一つとっても調味料やスープの分量ごとに分けられている。経験や勘による職人根性を持ち込まず、忠実に本部指導に従ったことが、標準化、統一化といったFC展開の必要最低条件を満たす要因となっており、当オーナーの光る技となっている。

また、パート・アルバイトの従業員教育にも光る技を見ることができる。とはいっても特別な育成手法をもっているわけではない。北浦和店ではオーナー家族のほとんどがなんらかの形で従事しているが、サラリーマン時代からアットホームな家庭を築いていたその雰囲気が、そのまま店舗に持ち込まれていて、従業員も実にのびのび働いている。仕事が終わってもみな事務所に残り談笑してなかなか帰宅しないくらいだ。

「従業員の親御さんから帰宅の催促の電話もあるくらい」と菅野氏。その従業員は働く仲間として、家族や友人を連れてくる。オーナーの人柄と家族が温かく団結していることが北浦和店の人材確保と定着化に貢献し、指導教育も行いやすい環境を作り上げている。菅野氏のみならず、菅野家全体の光る技であろうか。

■将来の目標・ビジョン

「まだまだ開店したばかりで帰宅する時間も無いくらいだが、近いうちに二店目、三店目を出店したい。そのためにはやく人材を育てるということを意識している。商材は金を払えば手に入るが、人材だけは高い金を払っても手に入らないでしょう。そうして苦労して育てた従業員に高い給料を取ってもらうには、多店舗展開してその店を任せるなど、それなりのポストを用意する必要があります」

菅野氏の心は出店意欲に満ちあふれている。

((有)マネジメントプロセス経営コンサルティング部・田邉郁也)

◆FC本部担当者からのコメント

「経験の無いスタッフでも力を合わせればこんなに素晴らしいお店ができると実証され、本部としてもうれしく思います。地域に愛されるお店を目指してこれからも一緒にがんばっていく所存です」

(グロービートジャパン(株)広報部・野瀬正一氏)

◆筆者からのコメント

「業界のことを何も知らない自分でも、行列のできる店を開けることができる」と、菅野氏はFCシステムを絶賛していますが、チェーン展開においての商品の合格レベルのなんたるかや、職人のこだわりを廃したここのFCチェーンの本質をよく理解しないとこのような言葉にはなりません。

FCシステムに頼り切っているように見えても、その運営には人的要素が多分に影響し、それを解決するのはオーナー自身でしかないことをよく理解されているのが好調スタートをきることができた要因といえるでしょう。

今は主要な戦力として気心の知れた家族の強力なバックアップのもとに成り立っている北浦和店ですが、今後は多店舗展開を目指して、家族のように信頼のおける従業員の確保と育成が大きなカギを握ります。家族経営からの脱却が大きな課題となってくるでしょう。

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