特集・イタリア料理 モランディ、旬の素材生かしアイデアで領域拡大

1994.04.04 49号 12面

モランディは銀座五丁目の歌舞伎座近くに自社ビルを構え、地下一階をバー、一階をウエーティングバー、二~三階がレストランで三八席。イタリア料理をベースに、その領域を独自のアイデアでさらに広げ、クリエーティブな料理を提供して五年目を迎える。昼は二五〇〇円と四〇〇〇円のコース、夜は一万円と一万三〇〇〇円のコースで客単価一万五〇〇〇円。この六ヵ月、売上げの前年比はクリアしている。基本的に夜は一回転で時間をたっぷりとって食前酒から楽しみたい人を守っている。客層はハイクラスだが、個人客や家族も多い。

「イタリア料理はヌウォーバクッチーナ(新しい料理)の軽いあっさりした風潮から、本来の素朴で重い土着の地方料理を見直そうという動きが出てきた」(奥村忠シェフ)という。「イタリアの一地方にこだわらず、原点(=地方)に返っておいしいものを掘り出し紹介したい」。

しかし、里芋や春菊など日本の旬(しゅん)でおいしい素材はどんどん取り入れている。たとえば里芋を蒸して皮をむき、パルメザンチーズと塩・コショウで軽くくだいて団子状にし、フライパンにオリーブオイルをしいて表面がきつね色になるまで焼く。アワビを白ワインで三時間蒸して表面を軽くソテーし、レモン汁をかけて芋の上に乗せると“和”の里芋がイタリア料理に変身するというわけだ。

奥村さんは、素材の質にはとことんこだわっている。魚類は生き物をよく使い、素材の味を出すために味付けはきつくしない。野菜は無農薬、有機栽培を選ぶが、トマトは糖度、酸味、しまり具合、ホウレンソウは通常アク抜きしないと出せないが蒸すだけでおいしいものなど、季節によって取れる産地が違うので、イタリア野菜を作っている日本の農家の情報と共に、産地情報を常に把握している。原価率が四〇~四五%に跳ね上がる時もある。

「食事には一つの流れがある」としてコース料理を基本とする。夜の食事は冷前菜二品、温前菜一品、パスタ一品、メーン一品、デザート、コーヒー。

写真の料理は温前菜の中の一つ「オマールエビのグラチネ赤ピーマンソース」。生きたオマールエビを使用、プリプリした独特の歯ごたえが特徴。

▽「モランディ」=東京都中央区銀座、Tel03・3543・5353

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