花かつお・削り節特集
花かつお・削り節特集:今期展望=落ち着き示す相場 収益・価値向上探る好機
今年のカツオ相場も安定し、1~4月の1kg平均は163円と落ち着いてる。一部改定前に戻るような特売価格、増量セールも見られる。今は事業継続を果たす収益・価値向上を探る、好機ととらえるべきだろう。マグロは枯渇や保護が叫ばれるが、カツオ資源は不明とされるのが世界的な現状。今年も豊漁が続いている。
高値で漁が優先される、マグロとの混獲率も25%程度と低いまま。ただし、相場の上限は17年のピーク1kg250円と示され、今後の漁とほかのタンパク質源の動向によっては、再び暴騰する可能性は十分ある。世界人口は今も伸び、縮小・デフレなのは日本ぐらい。仕入れ価格と歩留まり率が低く、使用量の少ない鰹節向け仕入れは、どうしても劣勢になりがち。相場安のうちに市場継続を確かにする、成長戦略を示したい。
前期最大のトピックとなった使い切りの成長は今期も継続。カビ付けして香り高い枯れ節、本枯れ節商品のミニパックも登場し、好評を博している。ただし使い切りパックも包材使用率は従来通り高く、少量で仕切りが必要。むしろ包材費は高い商品も多い。収益改善、利益貢献は途上とされ、増収効果を生む規模拡大が望まれる。
主用途である、おひたしや冷や奴、サラダなどへのトッピング需要は底堅い。半面、かつての大量消費・生産を支えていた、だし取り需要は年々減少。つゆなど加工品が定着し、惣菜など中食・即食品が拡充して、家庭内調理そのものが減った。
もともと削り節は成形やカビ付けなど長い製造期間をかけ、だし取りを簡単にした商材。煮炊きや汁物用途を失い続けるのは、レシピや使い方、製法提案といったマーケティング不足の感もある。にんべんは4.5gのかつおパックで、ちょうど1人分150mlのだしが取れると紹介。本来だし取り用の花かつおでもトッピング用途を伝え、同時にだし取りを啓蒙(けいもう)する必要もあるだろう。花かつおのダウンサイズも進行。以前は100g、現在は60~80gが中心だが、1~2人世帯には30gが適用とする向きも多い。
今期販売は前例のない10連休があって、4月に在庫用の仮需要、5月に反動減という動きが見られた。大きな物流の混乱は見られなかったが、物流費の上昇は、働き方改革の優先とされて絶対的。来年の東京オリンピックでは高速料金の上昇も予想され、さらなるコストアップは必至だ。
削り節市場の物流費は従来5%に満たなかったが、今は6%に急上昇。生産現場の人手不足も深刻で賃金アップが避けられない。人口減と高齢化の国内市場でヘビーユーザーのトッピング、だし取り需要だけでは業界継続できない、とする企業も出てきた。削り節以上もかつて液体調味料やチルド惣菜でほかの成長策を示した。新規事業か今の深耕かの選択も迫られつつある。
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