長野・山梨地区夏季特集
長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続く長野、山梨両県。初夏の天候不順が夏場の季節需要の立ち上がりに響き、熱気は地域の食品市場に及んでいない。地域が誇る豊富な果実・野菜も、日照不足の影響などで生育に遅れが出ている。
地域の食品市場は、人口減少に少子高齢化、オーバーストアの加速で消費・市場基盤の弱体化が進む。「デフレ脱却」のフレーズが聞こえなくなったのは、あきらめムードの裏打ちか。製造・仕入れコストの上昇で、収益環境は悪化の一途をたどり、製造や営業、店頭などあらゆる現場で人手不足が加速。こちらは明けない梅雨寒に悩まされている。
本紙が甲信エリアの食品メーカー、食品卸、食品小売業、外食業を対象に今夏行った調査によると、現在の景況感は「停滞」と答えた企業が半数近くを占めるなど、停滞ムードが漂う。
「健康長寿」や「健康寿命日本一」で知られ、果実・野菜原料に恵まれた両県の食品業界は、「健康訴求」や地産原料を使った商品、サービスなどの高付加価値化戦略で、新たな市場、チャネルの開拓を狙う。
山々に囲まれた立地からローカル色が強かった小売マーケットも、新幹線や高速道路など交通インフラ整備で隣接エリアや大都市圏との時間距離を急速に縮めながら、オープンマーケットに変わりつつある。加速する環境変化と市場基盤の揺らぎに、どう一手を打つのか。各社に今年前半戦の業況を聞きながら、攻勢への手掛りを探った。(長野支局長=西澤貴寛)
-
◆長野・山梨地区夏季特集:晴れぬ市場、漂う停滞ムード
総合 2019.08.21長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続く長野、山梨両県。初夏の天候不順が夏場の季節需要の立ち上がりに響き、熱気は地域の食品市場に及んでいない。地域が誇る豊富な果実・野菜も、日照不足の影響などで生育に遅れが出ている。 地域の食品市場は、人口減少に少子高…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:小売市場=オーバーストアさらに加速
小売 2019.08.21甲信エリアの食品小売市場は、全国の地方商圏と同様に人口減少や少子高齢化が進み、消費基盤の弱体化が進む。食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)、ディスカウントストア(DS)、ドラッグストア(DgS)など、業態を越えたオーバーストアも加速。…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:地域卸=地域力で事業・商品戦略強化
卸・商社 2019.08.21川上の仕入れ原価上昇、川下は流通再編に伴う帳合競争と、激流にさらされる川中の地域卸。ナショナル卸や侵攻リージョナル卸との競合、「中抜き」流通の拡大などで、いつ水底に引き込まれてもおかしくない難局が続く。一方で、甲信エリアはローカルSMチェーンが強さを…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:食品関連企業動向=高付加価値化の鍵は「健康訴求」
総合 2019.08.21本紙は、長野・山梨両県に拠点を置く食品関連のメーカー、卸、小売業、外食業ら約120社を対象に、今年上半期の業況や現在の重点課題を聞くアンケート調査を実施。調査期間は7月1~31日、延べ47社(メーカー32社、卸7社、小売7社、外食1社)から回答を得た…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:農産加工=「地域力」磨いてチャンスを捉える
農産加工 2019.08.21豊かな自然に囲まれた甲信エリアは、野菜・果実原料の宝庫。長野県は加工用トマトやエノキ茸、本わさび、山梨県はブドウ、モモなどの生産量で日本一を誇る。こうした農産物を原料にした農産加工は、地域の食品製造業を黎明期からリードし、日本ワインやなめ茸、こうや豆…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:信州味噌・醤油=独自性・地域密着で大手に対抗
味噌・醤油 2019.08.21「信州味噌」の地元・長野県は、大手メーカーから中小の製造業、「蔵」規模の醸造場まで約120社がひしめく味噌大国。同県の味噌出荷量は全国の約50%を誇るが、一部大手への偏重が年々進み、中小・小規模メーカーは苦戦が続いている。新たなニーズ、市場に向けて、…続きを読む
-
長野・山梨地区夏季特集:信州そば・麺=変化に対応、需要基盤立て直す
小麦加工 2019.08.21長野県の食を代表する「信州そば」。そのブランド力は全国に轟く。明治時代に長野市で誕生した乾麺、乾そばの製造量も、同県のシェアは全国の約40%を占め、製品分野でも県の食品産業をけん引している。ただ、08年は約2万tあった乾そばの年間製造量は現在、1万4…続きを読む