1月22日。今日はカレーの日
1月22日は全日本カレー工業協同組合が制定したカレーの日。1982年1月22日に全国学校栄養士協議会が全国の学校給食の統一メニューとして「カレー」を提供したことに由来する。
インドに「カレー」はない
今日、わが国で「国民食」とよばれて親しまれている料理がカレーであるが、その基本にあるのがカレー粉である(今日業界で「即席カレー」に対して単 に「カレー粉」あるいは「純カレー」とよんでいる)。
カレー粉は種々の香辛料(スパイス)を混合した、いわゆる混合香辛料の代表である。このカレー粉が今日のようにわれわれにもっとも身近な食品の一つとなるには、長い年月を要した。
カレーの故郷はインドといわれているが、厳密にいえばインドにカレーとよばれている料理は存在しない。インドにあるのは、多くの香辛料を使ったスパイシーな料理であり、それらを西洋人、日本人が総称してカレーとよんでいるのである。したがってインドには、日本で一般的なカレー粉を見出すことはで きない(商魂たくましいインドの企業家が最近まさに「カレー粉」を作って販売している例は若干ある)。そこにあるのは、各家庭伝来の処方で作られた、ガラムマサラやカレーペーストなどである。ガラムマサラは、いくつかの辛い種類の香辛料を混合したもので、これを基本にして、材料や家族の体調などに合わせていくつかの香辛料を組み合わせ、独自の料理を用意している。
ここで面白いことは、古い時代のインドではカレーはそれほど辛くはなかったであろうということである。熱帯地方は暑さがきびしいので、発汗作用によってさわやかな感じを得るため、人々は強烈な辛味を好む。われわれがよく経験するように、暑さにより食欲が減退した時、香りの高い料理によって食欲を誘い、辛味の強い料理によって胃腸の働きを旺盛にすることは、 自然の摂理ともいえる。
とりわけ四季の別がない高温の国では、この辛味は重要な意味をもっているといえる。 しかし、かつてのカレーはそれほど辛くはなかったと考えられるのは、カレーの中に唐辛子が入っていなかったか、あるいは入っていても少量であったろうと推測されるからである。カレー粉の辛味は、後述するように唐辛子およびこしょうをその主体としている。こしょうはインドが原産地であり、なおかつ世界最大の産地であるが、唐辛子は南アメリカを原産地とし、コロンブスの新大陸発見(1492年)まではまだインドに伝播していなかったと考えられるからである。それゆえこしょうを主体とした辛味であったと思われるが、その配合量もその強い芳香により限定されていたと想像される。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:エスビー食品株式会社 ))