今日は何の日

5月10日。今日は植物油の日

毎月10日は日本植物油協会が制定した植物油の日。もともとは7月10日のみであった。7月10日の710を逆さまにすると「OIL」と読めることに由来する。

乳肉・油脂 今日のキーワード:

油のはじまり

油が人類に利用されるようになったのは灯火として照明に用いられたのが始まりとされている。すなわち魚肉や獣肉を焼く時に油が燃えるということから油を明かりに利用することを覚え、次いでこれを灯火に使用したのが初めで、エジプト人は4,000年以前に油を灯火に利用したと伝えられている。

わが国における灯明油の起源はいろいろな説があり、定かでないが、3世紀の神功皇后の頃に大陸から搾油の道具が伝わり、4世紀には摂津住吉明神の神事 の際に地元の遠里小野村において榛実(はしばみ)という木の実から油を搾り、灯明油として献じたと伝えられており、これがわが国植物油の始まりとされている。この製油技術が摂津住吉の浦に発達したということは、大陸文化の流入にともなってわが国に伝えられたものと考えられる。

その後、清和天皇の貞観年間 (859〜876年)に男山八幡宮が創立され、その際大山川崎の宮司などがはじめて「長木」という搾具をもってえごま油をつくり、 灯明油として献上したといわれている。他方遠里小野村ではその後、檮押木(しめぎ)という搾油機を案出し、あぶらなの種を搾り生産量を増加したという。これがなたね油製造の始まりで以後灯火用として石油が登場するまで約1,000年にわたりわが国植物油の大宗を占めていた。

わが国の製油工場が水圧式搾油機を導入したのは1890年代からで、1902年にはこれにより大豆搾油が開始されている。圧搾法はその後連続式自動圧搾機の 出現によって、さらに発展を遂げたが、製油工業の本格的な発展は溶剤を用いるいわゆる抽出法の採用以後のことである。抽出法が製油技術にとり入れられ てから、製油技術は急速に発達し、わが国においても、明治末期に抽出法による大豆製油工場が名古屋に初めて建設され、 徐々に大豆の搾油量も増大して いった。大正末期にはわが国で初めてサラダ油が発売され、現在の高品質な食用油に引き継が れる素地が整えられた。戦前のわが国の油脂工業の水準は世界的にもきわめて高いものであったが、第二次世界大戦によって大きな損失を受け、戦後の新しい展開に移行することとなった。

戦後は、とくに米国産大豆を中心とする海外原料へのシフトと油脂需要の伸びに対応する大量生産装置工業として効率化が進み、1950年代には臨海製油工場への集約化などによって、世界に追いつく規模が整えられた。

その後は経済の高度成長とこれにともなう食生活の多様化・高度化などを背景に、わが国の製油産業は飛躍的な発展を遂げた。

1960年当時もっとも多く供給されていた植物油は大豆油であったが、88(昭和63)年以降は菜種油が第一位となり、2009(平成21)年以降はパーム油が第二位となり、大豆油は第三位の油種となっている。

(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:一般社団法人 日本植物油協会 島田 純))

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