総点検–激震下の外食・飲食業 テンコーポレーション「てんや(天丼)」

1995.07.03 80号 5面

天丼チェーン「てんや」は(株)テンコーポレーション(本社=東京・台東区)が展開している飲食ビジネスだ。

丸紅七〇%、日清製油二五%、岩下善夫(代表取締役社長)五%が出資(資本金一億円)。平成元年4月からスタートした事業で、今年5月末現在五九店舗をチェーン化する。

松屋フーズ同様にFC展開はしていない。しかし、他社の追従を許さない「ノウハウ」の確立をまって早ければ今年度後半にはFC一号店を開設し、平成8年度以降のチェーン展開に組入れていく。

天丼はもちろん、ごはんの上に揚げたての天ぷら類をのせて提供するものだが、牛丼と異なって作り置き(ホールディング)ができないことが、FF化を妨げてきた。

このため、天ぷらを食する場合は専門店を利用することになり、気軽に食するという状況にはなかった。

スピード調理でおいしい天ぷらを、しかもFF並みの低価格で提供できないか、てんやはこれらの点を課題とし、研究開発を進めてきた。この結果、FF化に成功したのだ。

FF化最大のポイントは、コンピュータで油温と時間をコントロールするオリジナルの「フライヤー」を開発したことだ。これにより、プロの調理人がいなくても、おいしい天ぷらが揚げることが可能になった。

油温は一八〇度。油は特製ブレンドの植物油を使う。内容は企業ヒミツだ。商品の提供は一分半から二分以内。牛丼の場合は盛り付けするだけであるので、一分くらいで提供されるが、しかし、牛丼の仕込みはまだ人的作業に頼っている。

調理をシステム化したという点においては、てんやは和製FFでありながら、ハンバーガーチェーン並みのオペレーションシステムを確立したということだ。熟練度を必要とした天ぷらの調理を、素人でもフレッシュでおいしく揚げることができるというのは画期的なことだ。

「オリジナルのフライヤーの開発により、調理をコンピュータ化したのは、生産性の向上とチェーン化を進めていくという前提においては、大きな強味です。消費者にとってはフレッシュでおいしい商品が安く手に入る。私ども事業主体者にとってはこれを武器に、独自の飲食ビジネスを展開していくことが可能になったのです。もちろん、ハード面だけではなく、接客サービスとか、クリンリネスとかソフト面も充実させていかなくてはなりませんが、調理のコンピュータ化は、高賃金の職人を不要としたことでも意義は大きいのです」(テンコーポレーション取締役事業推進本部長近藤博通氏)

店舗運営のシステム化においては、全店にストアコントローラー付のPOSレジを導入したことでも、効率化の追求に大きく貢献している。

本部において一体的に店舗の運営管理が可能になり、売上げ状況を正確に把握することで、的確な経営判断が下せることになった。

メニューは天丼、野菜丼四九〇円、かき揚げ丼六二〇円、特丼、えび・あなご丼六九〇円、えび丼八八〇円など六品目が主力単品商品で、このほかに天ぷら定食六二〇円、特えび定食七八〇円、えび・あなご定食七八〇円の三品目をごはん物として提供している。商品は生産性を高めていくために、徹底して絞り込む作戦をとっている。

メニューにバリエーションを持たせている松屋とは対象的だが、てんやのメニュー政策は、並、大盛、特盛を主力商品とする効率優先の吉野家の考え方と共通するのだ。

イートインに加えてはもちろんテークアウトサービスも行っている。これは松屋の牛丼商品も同じだ。

てんやの客層は、立地によって多少異なるものの、サラリーマンからファミリー客まで広角度だ。店舗面積二五~三〇坪、客席数二五~三五席。立地は駅前や繁華街。松屋と完全にバッティングする立地だ。

一店舗あたり一億円前後の投資額。年商一億二〇〇〇万円の売上げ。この点も松屋チェーンと同じだ。

出店計画は今年度末にトータルで七五店、そして、平成9年度までに首都圏で一〇〇店、年商一二〇億円達成する。

(株)テンコーポレーション

所在地=東京都台東区浅草一‐一〇‐二

設立=平成元年4月

資本金=一億円

代表取締役社長=岩下善夫

店舗数=五九店(平成7年5月末現在)

売上高=五三億円(平成6年度)

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