カクテルのデリバリーも登場 コロナ禍の英国でお酒の嗜好に変化

英国でカクテルの人気が急上昇している。コロナ渦の自宅待機期間には、カクテルのデリバリーも登場したほどである。缶のカクテルの種類も年々増えている。今回は、英国のカクテル製品のトレンドと売れ筋商品を紹介する。

自宅でカクテル作りのスキルアップ

最近、英国人のお酒の嗜好(しこう)が変化している。英国初の窒素含有缶カクテルを売り出したFunkin Cocktailsによると、2018年からの1年間でカクテルの売上げが約10%も伸びており、年々この傾向が高まっていくのではないかと予想している。

また2000人を対象に実施した調査によると、約20%の回答者がビールやワインの代わりにカクテルを飲むと回答した。定番カクテルのマティーニやマルガリータの人気はいうまでもなく、英国ではユニークで新鮮な風味の支持も高いという。

さらに人々は、自宅待機の間、カクテル作りのスキルアップも楽しんでいた。今年の3月末から6月までに、グーグルを使ったカクテル・レシピのリサーチ数が9800件を超えたほどである。また10人中4人がカクテルメーキングセットを持っており、特別行事などのパーティーで腕前を披露している。

参照サイト:
Fifth of drinkers now choose cocktails over beer and wine, study claims | The Independent | The Independent(英語)

英国のスーパーの缶カクテル売場(筆者撮影)

カクテルのデリバリーがロンドンに

新型コロナによる自宅待機期間中、カクテルのデリバリーが登場した。ロンドンのThree Sheetsは、注文品を瓶詰めして配達。さらにオプションとして、カクテルグラスや氷、付け合わせの注文も承っている。

カクテルメーキングセットのサブスクリプションも人気が高い。Taste Cocktailsの場合、約6種類のカクテルメーキングの材料、レシピ本、業界著名人のインタビューなどを含む冊子をセットとして販売している。

大手スーパーマーケットチェーンは、独自の缶カクテルも開始した。このほかスタートアップや小企業がオンラインショップを開き、続々とユニークな缶カクテルを市場に送っている。オンラインショップの場合、サステナビリティーや質、トランスパランシー(透明性)という点で消費者に強くアピールできている。

ダース売りが多いのも特徴である。また、低カロリーや低アルコール率、原料に配慮した品物が揃っている。例えば、East London Liqure Companyは、バラエティーセット12缶入りを20ポンド(約2700円)で販売するほか、添加物無使用の缶カクテルも展開している。

英国での流行はジンベースのカクテルであるが、今年はウイスキーやラム酒、ウオッカやスパークリングワインをベースとした缶カクテルが目立つ。

カクテル缶の人気商品は

M&Sの「センク・ピンクジントニック」は、クランベリージュースに浸透させて作ったピンクジンをトニック水で割ったカクテルである。ピーチの香りがよく効いている。

「センク・ピンクジントニック」(筆者撮影)

maliburumdrinks.comの「マリブ・パイナップル」は、炭酸の効いたココナツとパイナップル風味の甘いラム酒ベースのカクテルである。

「マリブ・パイナップル」(筆者撮影)

Sainsbury’sの「ウオッカ・ライムアンドソーダ」は、ウオッカをライムソーダで割った清涼感あるカクテルだ。

「ウオッカ・ライムアンドソーダ」(筆者撮影)

他にもユニークなカクテルとして、エスプレッソ・マッティーニ、ボタニカル・ハイボール(ジン、パチョリ、パイナップル・シラブ、パッションフルーツ酒、ホップソーダ入り)、ブラッドオレンジとカルダモン風味のウイスキーカクテルなどがある。(フードライター ラッド順子)