英国で発酵食品ブーム 健康志向のケフィア商品が続々と
英国では近年、発酵食品がブームである。家庭の食卓に味噌汁やキムチが並ぶことも珍しくない。今年、最も注目されているのは発酵乳の一種であるケフィアだ。腸内環境の改善と健康・美容効果がうたわれているケフィアは、好奇心旺盛で健康に関心の高い英国人を引きつけている。そこで今回は、英国の発酵食品ブームの背景、ケフィアとヨーグルトの違いおよび人気商品を紹介する。
ケフィアとヨーグルトの違いは
ケフィアは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈とそれを取り囲む低地からなるカフカース地方で伝統的に受け継がれてきた乳飲料である。
腸専門のWebサイトであるウッドパスによると、ヨーグルトとの主な違いは、含まれている菌の数である。ケフィアは、イースト菌に加え、10種類から20種類もの乳酸菌をミルクに混ぜて発酵させて作る。そのため、ヨーグルトよりも菌の数が多いとのことだ。
市販のケフィアは、製品によって菌の数や種類が異なる。例えば「コレクティブ・ケイファ」には、250ml中に約600億のコロニー形成単位(約600億の菌)と13種類の善玉菌が含まれる。これに対して、ヨーグルトには1億~2億の同形成単位と2~5種類の善玉菌が含まれている。
ベネフィットを見ると、ヨーグルトよりも免疫を高めるなどの健康効果が高く、ヨーグルトには期待できない血液中のコレステロール水準低下や腫瘍の縮小、傷の治癒を促すといった効果も期待できると言われている。
参照サイト:
Kefir vs. Yogurt: Which is Healthier and Better for You?(英語)
how can i get kefir into my diet? The Collective (英語)
味や食感はどうだろうか。ケフィアには、イースト菌が入っているため、食感はヨーグルトよりも水っぽく、発泡感があり、まろやかなビール風味が特徴である。
人気のケフィア商品は
レオン・ケフィアはヘルシーなメニューで有名な英国のファスト・レストラン・チェーンのLeonが製造するケフィアである。約500億の菌とプロバイオテックスとしてチコリの根を英国産の牛乳に加えた発酵乳だ。フレーバーは、サクランボ、ココア、蜂蜜ショウガがある。
コレクティブ・ケフィアは250ml中に約600億のコロニー形成単位(約600億の菌)と13種類の善玉菌が含まれる。フレーバーは、プレーンの他に、マンゴー・ターメリック、ココナッツ・蜂蜜、ベリー・ハイビスカス、パッションフルーツ・ジンセンがある。
アジア圏の発酵食品に注目
腸内環境を改善し、健康や美容に効果があるとうたわれる発酵食品に英国人は夢中だ。西洋でもヨーグルトやチーズなどの発酵食品が昔から存在する。しかし今、アジア圏の伝統的な発酵食品が注目されている。
その理由の一つには、日本や中国や韓国では国民の腸の健康度が英国よりも優れているとの研究結果やベジタリアンブームがある。味噌やキムチ、インドネシアのテンペ、そして北欧を発生地とするサワーブレッドは、このトレンドの代表食品である。
また、ミシェランスター・レストランをはじめとする大都市の有名レストランの数々が発酵食品を材料としたメニューを加え、アピールしている。さらに、発酵食品ガイドといった本まで発行されるなど、ブームはまだまだ続きそうだ。
屋台やスーパー、オンラインショップには、キムチを挟んだホットドックやハンバーガー、味噌チリ風味のスープヌードル(ライス麺入り)、味噌入りチョコレートといったユニークな商品も売り出されている。
今年は、ケフィアが目立つほか、発酵野菜で作ったチリソースや焼き肉ソースも登場し、好奇心旺盛な消費者を引きつけている。(フードライター ラッド順子)